『少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険』(☆3.6)


あの少年名探偵・虹北恭助がまたまた帰ってきた!池の鯉はどうして殺されたのか―?
クリスマスイブの夜、病院に現れた謎の「サンタさん」とは―?美少女・野村響子ちゃんをワトソン役に、虹北恭助(とカメラ屋の若旦那)の推理が冴える!
はやみねかおる新本格ミステリ魂がいっぱいにつまった一冊。

yahooより

2冊分冊の後半。
『少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険』という捻りの無いタイトルが素敵です(笑)。

それはともかく前半に比べると本格要素は少し強くなってると思います。
ま、あちらはメインが若旦那の映画製作メイキングがメイン(?)だったから、こちらの流れが正しい。

まずは『春色幻想』。
普段思ってたことを違う視点でみたら、違う姿が浮かび上がる。
ミステリ定番の一つである手法をメインに、一人の少年の本当の姿を。。。
途中である程度オチが見えてくるけれども、ああこんなことあったなあと思わせてしまうストーリー展開が優しい。
部分的に子どもじゃなかったら、いくら理由があってもそれは・・・という部分はあるけれども、そのへんはお父さんお母さんがフォローしてください(笑)。
そしてラストではついに恭助と響子が・・・おっと、これ以上はぜひ本で。。。

つづいて『殺鯉事件』。
私にとっての主役はやっぱり若旦那!!相変わらずきてます。
映画仲間のマスターと由美子さんの婚約、その結婚式で披露するビデオを若旦那に依頼してしまいます。
気づいたときにはもう遅い。誰も若旦那を止めることはできません。
由美子さんが餌を与えている中央広場の鯉に「スケキヨ・スケトモ・スケタケ」の名前を授ける身内ネタがたまらない。
お馴染みメヌエット賞の受賞企画が「カンキリサイクル」なのにもほくそ笑みです。
さらには私が大学時代に愛用していた8ミリフィルムカメラも登場して切なさMAX!!
そして撮影の途中にスケタケ(鯉)の生首が!!
第1話に続き、真相的にはまたしてもギリギリ。まあ一応フォローはしとりますが正直微妙^^;;
ただそんな表にストーリーとは別に隠されたもう一つのストーリーを組みこむ本格スピリットは素敵ですのう。

最後は『聖降誕祭』。
クリスマス間近の虹北商店街。若旦那監督の披露宴用ビデオもついに5本目。
恐るべし若旦那。。。
本編のストーリーは今作の中で一番優しいお話。
そして少し大人になった恭助の優しさが垣間見えます。
第1作のときに恭助の言動に引っかかり、他のブロガーの方と同様に成長譚的なものがでてくるのか気になりましたが・・・
正直成長譚というより、今まで恭助の見えてなかった本質(?)がほろほろと見えてきます。
相変わらず学校には行ってないんですが、でも結構いろいろ考えてるんやな、と。
なんだか彼の後ろにははやみねさんの考える探偵の姿が透けてみえるような気がします。
正直もう少しぶつかっていこうよという気がしないでもないですが、でも響子ちゃんがなんとかしてくれるはず。

3作目にしてやっと主役が気に入ってきました。
次は確か冴さんのお嬢さんがいいと言ってた作品。
期待してとりかかりたいと思います。


採点  3.6