『魔女の隠れ里 ~名探偵夢水清志郎事件ノート~』(☆3.3)


笙野之里で企画している推理ゲームのアドバイサーをたのまれ、夢水名(迷)探偵は桜の咲く里をやってきた。
ところが、ついたとたんにとどいたのは、『魔女』と名乗る人物からのメッセージ。そしてすぐに、謎の推理ゲームがはじまって…。
『魔女の隠れ里』のほか、雪霊の藪の謎、羽衣母さんの謎もある、名探偵夢水清志郎事件ノート第4作。小学上級から。

yahooより

は~い、サクサクと第4弾です。
ここからは再び「青い鳥文庫」へ。

今回はシリーズ初の短編集。全体の割合からすれば中篇なのかもしれませんが、なにせ総ページ数が少ないですからね^^
で、間には三姉妹のお母さんである羽衣さんの一日を収録されてお徳感満点(笑)。
収録された短編2作『消えた足跡と幽霊のシュプール』『魔女の隠れ里』は、両方とも夢水が雑誌から依頼された連載エッセイの取材という流れで繋がってます。

いやあ、それにしても表立っては事件をほとんど解決してないのに、ここまで有名(?)になって清志郎が謎。
そしてそんな清志郎にエッセイを依頼してしまう雑誌社がもっと謎。
それにしてもこの両者の後味の違いはおもしろい。
前半の『消えた足跡~』がわりと爽やかな後味を残すかたわら、後半の表題作はかなり苦い。
事件の重さとしても、ここまでのシリーズ中もっともヘビーな気がします。

このギャップ感、ミスリーディングとしてミステリでファンでは定番だと思いますが、結構小学生読者はショックを受けるかも。
そしてラストの幕引き、あらためて解決されない謎が残ったような。
ま、それも清志郎に言わせれば「解いちゃいけない謎もある」ということでしょうか。

羽衣お母さんの華麗なる一日は、あの典型的な日本の母親と呼ばれている羽衣さんが実は意外な・・・というところがまあ、面白かったです。
エピローグの探偵小説のお約束を逆手にとったネタ、ちょっと信じてしまいました。

まったく関係ないのだけれど、講談社文庫の後書きには小ネタ集が載っている。
これは作中で引用されたりモデルがあるものを紹介してるのだけれども、これは青い鳥文庫版ではないのだ。
ここ2作を講談社文庫版で読んで、この作品から読むとその辺が物足りなくてね~^^;;
ま、そうはいっても分かりやすいネタが多いので、気に掛かる~ってことはないんですが(笑)。

全体的には作品的な伏線はなかなかなものの、やはりトリックは易しい。
ほんと小学校の授業を受けてるみたいな楽しさはありますね。
安心して読める本ってところだと思います♪




採点  3.3