『一瞬の風になれ(全3巻』(☆4.5)


   あさのあつこの『バッテリー』、森絵都の『DIVE!』と並び称される、極上の青春スポーツ小説。
   主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。

   冬のオフシーズンを経て、高校2年生に進級した新二。冬場のフォーム作りが実を結び、スピードは着実に伸びている。天才肌の連も、合宿所から逃げ出した1年目と違い、徐々にたくましくなってきた。新入部員も加わり、新たな布陣で、地区、県、南関東大会へと続く総体予選に挑むことになる。
   新二や連の専門は、100mや200mのようなショートスプリント。中でも、2人がやりがいを感じているのが4継(400mリレー)だ。部長の守屋を中心に、南関東を目指してバトンワークの練習に取り組む新二たち。部の新記録を打ち立てつつ予選に臨むのだが、そこで思わぬアクシデントが……。

   高校の最終学年を迎えた新二。入部当時はまったくの素人だったが、今では県有数のベストタイムを持つまでに成長した。才能とセンスに頼り切っていた連も、地道な持久力トレーニングを積むことで、長丁場の大会を闘い抜く体力を手にしている。
   100m県2位の連、4位の新二。そこに有望な新入生が加わり、部の歴史上最高級の4継(400mリレー)チームができあがった。目指すは、南関東大会の先にある、総体。もちろん、立ちふさがるライバルたちも同じく成長している。県の100m王者・仙波、3位の高梨。彼ら2人が所属するライバル校の4継チームは、まさに県下最強だ。
 部内における人間関係のもつれ。大切な家族との、気持ちのすれ違い。そうした数々の困難を乗り越え、助け合い、支え合い、ライバルたちと競い合いながら、新二たちは総体予選を勝ち抜いていく――。

yahoo紹介より

はい、また1ヶ月空きました。
本当にこの夏はブログサボりまくり、実習忙しすぎ。
コミック同好会も、ミステリ学部の活動も参加せずでした^^;;;でも、海にも山にも行ってないんだよ。。。
でも更新を忘れたわけではありません。

と、いうことでさりげなく復活。。。
まずは、巷で大評判だった佐藤多佳子『一瞬の風になれ』。
第136回吉川英治文学新人賞、2007年本屋大賞受賞。

その肩書き、そして巷の噂の通りとっても面白い本でした。
実はこれを読み終えたのは8月の後半の実習が始まる直前。
図書館で運よく三冊まとめて回ってきて一気読み。
もちろん予約で詰まってるので即返却。
ということで手元に無いから、なかなか詳しい記事が書けない。

なんとかおぼろげな記憶(←年だなあ~。)を頼りに感想を。

学校生活にはほとんど触れず、とにかく陸上部での活動が中心。
しかも舞台となるのは一瞬で勝負がつく短距離種目、そして4継リレー。
その短い瞬間に詰め込まれた、夢、希望、友情、戦い!!
隅から隅まで、青春の息遣いがリアルに伝わってきてすっげ~気持ちよいです。

とにかく登場する高校生達がサイコーにいいですな~^^
まっすぐで、爽やかで、それでいて個性的で。
壁にぶつかりもがく姿にあの頃の自分を思い出し(?)、エールを送る。
登場人物達と、共に泣き、共に笑い、共に怒り、共に喜ぶ。
そんな言葉が相応しい小説。

レース場面の描写も出色でしたね。
短いフレーズを重ねることで、スタートの緊張。そしてたった11秒のレースのスピード感が溢れてます。
なにより、4継のレースは最高に感情移入できますね。もうバトンリレーの瞬間なんか、一緒に「ハイッ」と叫んでしまいそうです(笑)。

登場人物ととも成長できる小説。
今10代の人も、かつて10代だった人もぜひとも手に取ってもらいたい。
三冊なぞと尻込みなさるな。
読み始めたらあっという間ですから^^



採点  4.5