『パーフェクト・ワールド Book.1』(☆4.0???)



2007年は毎月流水! 大河ノベル開始!;2人の青年が出会った時、英語と京都と運命を巡る壮大な物語が始まる。清涼院流水が毎月1冊12カ月連続書き下ろしで贈る渾身の大作。大河ノベル堂々の発進!

amazonより

お仲間ミステリブロガーの誰からも愛されていない男、清涼院流水
そんな彼が描き出す講談社BOXの新企画「大河ノベル」。

なんと12ヶ月連続刊行のシリーズ作品。
ええ、手に取りました。さすがに自分で買う勇気は無かったので図書館に買わせました(←これは罪ですか?)。

最初に講談社BOXのHPに掲載されている著者のメッセージを引用します。

大河ノベルについてなにをしたいか、述べる
ふつうに続きものの小説を読む感覚で
大河ノベルパーフェクト・ワールド』を読み続けていただくだけで、
1年後には、あなたは英語を流暢に話せるようになっているでしょう。
1年後には、あなたは他人に尊敬される京都通になっているでしょう。
1年後には、あなたは運命(人生)の達人になっていることでしょう。
つまり、どう転んでも、あなたはハッピーになっているはずなのです。

世の中をハッピーにしたい。
あなたがハッピーになる、お手伝いをしたい。
そのためだけに、ぼくは本を書き続けています。
パーフェクト・ワールド What a perfect world!』
この作品には、いつも以上の手応えを感じています。
この作品は間違いなく、あなたの人生を変えます。必ずや、いい方向に。
せっかくのこの機会に、みんなでハッピーになりましょう。
それこそが、ぼくの夢見るパーフェクト・ワールドです

要は1年間このシリーズを読み続ければ、英語が喋れしかも京都通になれるという企画ということです。
帯だか紹介文だかにもそんな事が書かれていたような気がします。
そういえば清涼院氏が同じ講談社BOXで発表した『成功学キャラ教授~』も、これを読めば人生成功間違いなしと謳った本でしたなあ。

で、内容はというとまさにその通り。
英語のハウツー本と京都観光ハウツー本をミックスした内容。

基本的には京都に住む主人公の車イスの青年の自宅が、アメリカ人の青年のホームステイ先に選ばれ、1年間一緒に暮らすというもの。
その中で英語を上達させたり、京都を案内します。そんな平和な一面の裏側で密かな計画が。。。
ってな内容。
ちなみに主人公の少年は、1日1分間だけ歩行機能を取り戻せて超人の如き身体能力を披露できる設定となっております(笑)。

まあ、とにかくスゴイです。
のっけから「キャナスピーク」という言語が登場します。
言ってしまえば英語の発音を覚える為の発音記号をよりネイテゥブに近い状態でカタカナ化したもの。
よく辞書に載ってる発音記号とそのカタカナ表記の中間みたいなもんですな。

例を挙げると

「Ray,you'er already my great friend,and are a very good member of our family」
(=レイ、きみはもう、僕の最高の友人だ。で、一角家のよきメンバーでもある。)

という英文が、「キャナスピーク」では

「(ゥ)レイ、イゥァ・オーゥレディ・マイ・グレイト・フレンド、アンダァーァ・ヴェリ・グゥド・メンバァヴ・アウァ・フェアマリ」

となる訳ですな。
ちなみに、単語の説明や構文的な解説もバッチリ書いてあったりします。しかも妙に分かりやすく(笑)。
で、強弱のイントネーションが分からないのであれなのですが、本当に通じるのでしょうか?
これが通じるならばまあ多少は役に立つのかな???

でもう一方の京都案内もほんと鬼のように詳しいです。
第1巻では京都の地理的特徴がほとんどを占めましたが、ふむふむと頷く事もしばしば。

正直、英語(キャナスピーク)も京都もどちらもよく取材されていると思います。
最初は京都駅の歩き方にフムフムと頷いたり、「キャナスピーク」を声に出して発音してみたりと楽しんでたのですが、ただ延々とそれの繰り返しだと後半は結構飽きる(当たり前?)。

とにかく小説的な創作部分が皆無に等しいですからね。
そこのところを了解した上で、これは為になると思えれば素晴らしい本なのかもしれません。
少なくとも京都に関する部分は多少面白いと思いました。

ただそれを求めてなければ絶対面白くないと思います(笑)。
すべては貴方次第。。。


採点  4.0???(役に立つと思えば)