『ηなのに夢のよう』(☆3.7)



地上12メートルの松の枝に首吊り死体が!遺されていたのは「ηなのに夢のよう」と書かれたメッセージ。
不可思議な場所での「η」の首吊り自殺が相次ぐなか、西之園萌絵は、両親を失った10年まえの飛行機事故の原因を知らされる。
「φ」「θ」「τ」「ε」「λ」と続いてきた一連の事件と天才・真賀田四季との関連は証明されるのか?
Gシリーズの転換点、森ミステリィ最高潮。

amazonより

前回推薦文の文末が、最高潮から快調にトーンダウンしたと書きましたが、今回は再び最高潮です(笑)。
で今回は『η』。読みは「イータ」ですね。
まずはお約束の用語解説の引用。

Η、Η (希: ητα, 英:eta; イタ,エータ)はギリシア語アルファベットの第7字母
数価は8、音価は古典では/e:/、現代語では/i/。ラテンアルファベットのH、キリル文字のИはこの文字を起源とする。

小文字の η は、
音声記号として[ŋ](軟口蓋鼻音)の代用として使われることがある。
数学で、ξ に次ぐ第 2 の未知数として用いられることがある。
粘性係数として用いられることがある。
エネルギー効率を表わす記号として用いられる。
この一字でギリシャ語の女性定冠詞単数をあらわす。例)η Ελλάδα(ギリシャ)


あれ?いつもより解説短いな~。
まあ、本文との絡みが良く分からないのは一緒ですが(笑)。

えっと、このシリーズで初めて楽しく読めた気がします。
連続して起こる不可解な首吊り事件における現象として謎に関しては相変わらずどうでもよい。
今までかろうじて描かれていた気がする解決部分(実際に警察が動いたのかどうかは不明の作品もありますが)が、この作品においてはホント曖昧なまま。
しかもそれを示唆するのが犀川でも、海月君でも、萌絵でもなくあの人物。
いやあ~、どんどん物語の裾野が広がってます。

その一方で「G」シリーズに留まらず、「S&M」「V」「四季」など同一の流れにある他シリーズを含めた壮大な終着点が見えてきました。
萌絵、そして大学時代の級友金子君が家族を失った飛行機事件の真相(さすがにこれは後付けだと思うんですが)と、四季の関係。
それを踏まえた上での萌絵の苦悩と解脱(笑)。

シリーズ的な大きな流れという意味では冴さんが記事で指摘された、「西之園萌絵が主役の女の一代記」が素晴らしく的を得てると思いました。
そこに今まで登場したレギュラーメンバーと「G」シリーズのメンバーがどう絡み合い、クライマックス(カスタトロフィ?)を迎えるのか・・・

と、ここまで書いて気づきました。
次回作のタイトル『イナイ×イナイ』(5月発売予定)。慌てて森先生のHPを見ると、新シリーズ開幕宣言!?
ううむ、冴さんの指摘する「女の一代記」として側面としてみれば、確かのあのラストで一つの転換点を迎えてるのは間違いないんですが・・・

でも、これでシリーズ終了というのは、ミステリィの看板を背負ったものとしてどうなんだ~。
っていうかあまりにも他の謎残しすぎではありませんか?

ちなみに森先生、この疑問に関して「それは、いつでもどれでも浮かぶ疑問かと・・・・・・」と答えております。
そういわれたらどうしようもないんですけどねえ。。。

でもこれで新シリーズに萌絵が登場しなかったら、さすが暴動が起こる気がするのですが(笑)。

ちなみに、森先生のHPを見て一番驚いたのは、現時点での2007年の出版予定が20冊(文庫化等も含む」)決まってるそうな。
働きすぎです。大学は大丈夫なんですか?



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