『化物語 下』(☆4.4)



青春を、おかしくするのはつきものだ!阿良々木暦が直面する、完全無欠の委員長・羽川翼が魅せられた「怪異」とは―!?台湾から現れた新人イラストレーター、"光の魔術師"ことVOFANとのコンビもますます好調。西尾維新が全力で放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。

yahoo紹介より

『化物語 上』では大絶賛したこのシリーズ。
近所の図書館には上巻しか入ってなかったので、結局買ってしまいました。
1,575円、う~ん高いのか安いのか、難しいところ。
この装丁が安っぽい気もするかならあ~。。。
つーか、好みはあるにせよVOFANさんのイラストはいい味を出してると思うので、コストパフォーマンス的にカラーイラストをもっといれてもいいんじゃないかと思ったりして。
作風とのコラボとしては『戯言シリーズ』の竹さんと甲乙つけがたいだけにな~。

あ、また横道から入りましたか。
下巻、相変わらず面白く一気読み。ただどうしてもまとめに入らないといけない部分があるので、その辺の閉じ方が怪異との絡みでみるとやや薄いかなというのは欠点かなと思いますが。
ただ、相変わらずの会話の飛び具合は個人的に評価高いです。
上巻にもましてグレードを上げてきたエロネタの連発は、低年齢の読者にどうなんだ(マゾ奴隷、エロ奴隷って言われてもねえ^^;;;)という気もしますが、個人的にはそれをいう人物のキャラがいろいろな意味で立ちまくってるので違和感なし。
っていうか主人公の暦君の突っ込みっぷりが上手いんだな~、うんうん。ここまでリズム抜群の意味無しトーク連発を物語の中で違和感無く成立できる世界観。
それだけでも十分著者の力量を評価できると思う。
まあ、下巻においてはあまりに西尾氏自身の好みが暴走気味のところが無きにしもあらず。
特に最終の第5話(下巻だけでいえば第2話)は怪異の語る真実はもはや見え見えの部分があっただけにもう一捻りあっても欲しいかもしれない。

ところでいろいろなレビューを見ていると、本来語られるだろうと思われた第0話ともいうべき怪異が語られなかった事には残念という感想が多かった。
確かに僕もそれは語られるのだろうと思っていただけに、やや肩透かし感も感じないわけではない。
ただこれはこれでいいのだと思う。
それぞれのエピソードの中で断片的に語られるそれは、第5話の中でより具体的に言及された部分があった。
そして5話を通して構築されたフィルターを通して見ると、自然と第0話の怪異が見えてくる仕掛けになってると思えた。
個人的にはそれもまた西尾氏の持ち味なんだと思う。
戯言シリーズ』において、いーちゃんが第3者でありながら物語の中心にいたように、この主人公もまた同様なんだと思う。
そして主人公自身が物語の中心たる理由はこの物語の中で明確に位置づけされている部分の表現においては、『戯言シリーズ』以上の完成度だと思う。

前作のレビューの最後に、西尾氏の代表作のひとつに数えてもいいといったが訂正しましょう。
上下巻合わせて、これは現時点での西尾氏の最高傑作だと思う。
物語がこれで完結しているのが残念だな~。外伝でもいいから続編を書いて欲しい。
キャラのたち具合はサイコーなだけにさ。。。