『向日葵の咲かない夏』(☆4.4) 著者:道尾秀介



明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。―僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。

yahoo紹介より

『シャドウ』でやられた~、という感じでしたがこれまた^^;;
読ませるという意味ではホラーテイストな割りに力技ってな感じでもないのですが、どこか妖しい(っていうかS君が妖しい)雰囲気に徐々に飲み込まれていく。。。
後半の怒涛の展開はちょっと予想外というか、読んでて、お?お?お!?でした。

正直整合性という意味では合わない部分もあるんですが、まあそんな細かいところは気にしません。
そんな事を気にしてたらこういう小説って楽しめないと思うので。
『シャドウ』に較べてもかなりホラーテイスト濃厚ですが、とにかく手掛かりというかヒントというかそういうものの隠し方、または読者をミスリーディングに誘導する手腕というのは流石ですな。
本来考慮すべきところをわざと外しているにも関わらず、読んでてそれに違和感感じないもんな~。

で、そこまできちんとミステリとして組み立てていながら、ラストは作品の雰囲気の如く、ホラー的大団円。まさかあの人やあの人が○○だったなんて想像もつきません。
そしてさいごのミチオの独白の部分においてはそこまで構築した世界を見事なまでにぶっ壊すしな~。
ここまでやられると最後のエピローグ的な3ページも、額面通りに受け取っていいのかどうか悩んでしまいますぜ^^;;

まあとにかく、作品全体を貫くトリックも含めてネタバレ無しでは非常に語りにくい。ネタバレしても語りにくい作品。
雰囲気の好みは別として完成度では『シャドウ』に譲りはするものの、甲乙つけ難いという印象。
まあ、とにかく読んでくださいませ。