『C.M.B. 森羅博物館の事件目録(3)』 著者:加藤元浩


「Q.E.D」シリーズでお馴染みの漫画家加藤元浩さんが月刊少年マガジンで連載しているミステリー漫画の最新刊。
前作の2巻では「Q.E.D」シリーズとこのシリーズの書き分けという意味で非常に曖昧な部分が出て来てしまいどうしたのもかと思いましたが、今回は1巻に戻ったというか棲み分けが出来ているような感じがしました。

「失われたレリーフ」は主人公の持っている指輪を掛けて、レリーフの欠けた一部分に何が描かれているのか?また誰がそれを持っているのか?というお話。
アステカ文明の太陽神に絡めたストーリーは「Q.E.D」シリーズには無いタイプなのでそれなりに興味をそそられるのですが、ネタとしては正直斬新さが薄く、分りやすい。
むしろ作中に登場する実在の学者の言葉、『博物館の存在意義とは「神の財産目録」を創ること」とそれに対する主人公の言葉が印象に残りました。

もう一つの収録作品「都市伝説」は、主人公の通う学校で突然流布し始めたいくつかの都市伝説をめぐる謎のストーリー。
これもネタの発想自体は想像しやすいです。ただそれを実際に作品化するにあたって採用した手段についてはある知識が必要なのでちょっと答えにたどり着くのは難しい。
そういう部分では正直面白いのかというのが微妙なところ。
ただ主人公を巡る友達という概念の形成については、やや使い古されたネタではあるが読めるレベルにはなっていると思う。

「Q.E.D」シリーズとの違いはある程度存在するが、クオリティとしては試行錯誤が感じられてやや読み応えには欠けるかもしれない。