不気味な逆五芒星の中央に捧げられた二重鍵密室の首なし死体。邸内を徘徊する西洋甲胄姿の亡霊。資産家一族の住む大邸宅で、黒魔術のミサを思わせる血みどろの惨劇が続く。当主はなぜ警察の介入を拒むのか。そして、「呪われた遺言」に隠された真実を追う名探偵・二階堂蘭子にもついに殺人者の魔の手が迫る。
「BOOK」データベースより）より
僕の大好きな二階堂さんの蘭子シリーズ長編第４弾です。このシリーズも作品を追う事に長くなっていきますが、その長さに耐えうるクオリティをこの作品もきちんと保っております。
二階堂さんといえば、やっぱりJ・D・カーですよね。今回はそんな著者の趣味がまさに全開！！
怪しげな因縁を持つ洋館に住む怪しい人物達。オカルティズム濃厚な殺人現場の装飾。そして密室！！
しかも、今回は事件の最中に蘭子までが犯人の手によって毒を飲まされピンチに陥るという、ファンには堪らない展開もまっています。
密室トリックそのものも、機械的トリックと心理的トリックを融合させた、往年のカーにも劣らない出来ですし、オカルトな装飾の数々も事件に重要な役割を果たしているので、真相が明らかになったときに思わず唸ってしまいました。
ただ少し残念なのが、戸籍に関する部分が、ちょっと強引かなという気がする点かな。一度否定したものが実は・・・と、ひっくり返る部分に説得力をもう少し持たせて欲しかったです。
ちなみに、このシリーズは、最初から読み始める事をお勧めします。なぜならやたら『地獄の奇術師』の犯人に触れる事が多いからです。ぜひぜひすべてを読み通し、世界最長の推理小説『人狼城の恐怖』に突入してもらいたいものです。
