『吹雪の山荘』(☆3.2)  著者:笠井潔・岩崎正吾・北村薫・若竹七海・法月綸太郎・巽昌章



まずはあらすじ。

雪が降りしきる年末、山荘村の清沢郷に降り立ったフランス人教師ナディア・モガールたち。
それぞれの思惑を胸に、山荘で新年を迎えようとするその時、幽霊山荘と呼ばれる場所で首なし死体が発見される。幽霊騒動も勃発し、謎は深まるばかり。のろわれた山荘の謎と、首なし殺人の真相をナディアたちは暴けるのか?
ナディア・モガール、若竹七海、ブッキー、刈谷正雄、法月綸太郎……、
あの有名キャラクターが総登場。豪華執筆陣の本格リレー・ミステリ、いよいよ刊行。  

yahoo紹介より

久しぶりのリレー小説でございます。
笠井潔・岩崎正吾・北村薫若竹七海法月綸太郎巽昌章という異色かつ豪華な組み合わせ。
しかもそれぞれの作家が生み出した名探偵(?)達が豪華競演というから、それだけで満足してしまいそう。
といいつつ、リレー小説でほんとうに巧くいったものを読んだことがないからな~。
「堕天使」殺人事件のはちゃめちゃぶりなんかはそれはそれで大好きだったのですが、完成度でいうとね~、という出来だったもんなあ。
なかにはどう考えても作風的に食い合わせが悪そうな人もいますし、過度な期待はしないでおこう^^;;

ということで、読み出したのですが・・・
いきなり第1章で躓いてしまいました^^;;;
とにかく山荘の位置関係がわかりづらい上に、燃えただ・消えてしまっただの区別で大混乱。。。
ううむ、笠井潔恐るべし^^;;;(なにがだ?)
ただナディアがあの男の影をおって来日という設定はファンにはたまりませんな~。

以降岩崎→北村→若竹→法月→巽と続いていきます。
この中で法月さんがなぜか2章書いてたり、学生アリスが登場してるのに、執筆者に有栖川さんがいないなどの謎がありましたが(あとがきで説明されてます)、基本的にはもう個々の個性がでまくりというか。。
岩崎さんだけは読んだことが無いので刈谷正雄なる人物を知らなかったのですが、これはわりと他のブロガーのみなさんも同様だったようで。
他にもブッキーってだれやねん???と思いましたが、「円紫さんと私」シリーズの私だったんですね^^;;
それぞれの著者によって語られる他の名探偵の描写が暴走しまくったりして、特にのりりんなんかはかなりエロが強調されてましたね~。
確かに著作(特に短編)ではそんな一面も垣間見れるのですが、ここまでひどくはなかったような^^;;
まあ、それでも執筆陣がなんとか他のオリジナルのキャラクターを踏襲しようとしてるのですが、そのなかでブッキーだけは異色だった気がしますねえ。
なんだか他の執筆陣にかかると、どうにも別人のような印象。それが北村さん本人の手にかかると、当たり前ですが、ああブッキーだと^^
そんな感じで他の人の手を通したのを比べると、今まで見えなかった個性というのも見えてくるんだなとおもいました。

と、まあ実際にミステリとしてはどうだったかというと・・・
微妙^^;;;
一応このリレー小説は、全体としての謎の構築とは別にそれぞれの担当した部分の中で小さい謎とその解明を入れろというお約束があるようです。
このお題の結果がまた微妙^^;;
まあある程度本筋の謎とも絡めなくちゃいけないという制約もありますが、とにかく投げっぱなし。。。
特に岩崎さんの中での「消える人影」(?)の真相がある意味トホホです^^;;;
まあ、そのトホホな真相を次の北村さんがぶったぎって別の解決をつくったのには、思わず爆笑してしまいました^^
その真相もトホホといえばトホホなのですが、それを無理やり全体の謎の1ピースにした後半の執筆陣の豪腕っぷり^^;;
ラストの巽さんはほんとどうしよう・・・って感じだったでしょうね~。
こればっかりは纏めたというより、ほつれた毛糸をほつれたままつなぎ合わせて1枚の服にしたてた・・・ような解決でもいたしかたなしでしょう。

振り返ってみると、第1章を笠井さんが書いたのがすべてだった気がしますね~。
ナディアがでてきて、駆の影が見え隠れしてたら、どうしてもあっちの方向に話がいっちゃいますわな~。
でもいくらなんでもあの団体が絡んで・・・いうのはこじつけすぎで、ある意味すげえなあと思いました^^;;
笠井さんといえば、今回は最後にそれぞれの執筆陣が予想した結末がのってるのですが、笠井さんのそれがまた微妙^^;;
これをそのまんまやったらつまらなくないですか???
別の意味で岩崎さんの解決編のような物語もみてみたい気もしますが(笑)。

ううむ、なんだか微妙・・・な感想ですね、コレ^^;;
ま、買うのはアレなんで図書館でいいのではと思いました。。。


採点  ☆3.2