『『刀語 第2話』(☆3.7)



無刀の剣士・鑢七花と野心を秘めた謎の奇策士・とがめは、一路、西へ!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた"刀"は十二本―残る十一本は誰が?何処に?愛と復讐の旅路に迫る危機また危機!刀語、第二話の対戦相手は、因幡砂漠に聳え立つ下酷城・孤高の城主、宇練銀閣。

yahooより

わりと早く予約が回ってきた講談社BOX大河ノベル刀語』第2巻。
今回七花ととがめが狙う刀は斬刀・鈍(なまくら)。
なまくらがちゃんと鈍に変換できるのに、ちょっとビックリしてしまいました(笑)。

前作ではまだまだ時代劇に手探り状態、というような記事を書きましたが、少しづつ文体が見えてきたような気がします。
それはいつもの西尾維新(笑)。第1章の半分は「決め台詞」決めのくだらない会話につぎ込んでますからね。
キャラクター的にもだんだん固まってきた感じもするし、少しづつ物語が走り始めたのではないでしょうか。

さてさて今回斬刀・鈍を持つのは剣士・宇練銀閣。居あい抜きの達人です。
とにかく物語の最初から最後まで刀身を見せない程の高速っぷり。漫画か風太郎の世界です。
第3章で七花と戦うシーンではなかなか盛り上がってくれてます。
前回は相手が忍者というのもあったせいか、虚刀流の凄さが伝わりにくかったのが、相手が相手だけに成程~という戦いっぷりを披露できてるのでは?

戯言の一方で西尾維新の持ち味の一つは、登場人物が意外に深い考えを持ってたりすること。
そういう意味で今回の敵役宇練銀閣は典型的な西尾キャラ。
守るべきものを守る、そこに理由があるのではなく、それこそが理由。意味は無いけど意味がある。
この手のキャラクターはお手の物って感じ。一方の七花も守るべきも(とがめ)がある訳で、守るべきもの同志の戦いというのもいい感じ。
ただ講談社BOXであるが為にとにかくページ数が少ないので、そういった部分がやや走り気味なのが残念。
戯言と較べると正直迫ってくるものが薄いかな~と思うのですが、それは酷?

全体として以降の物語のキーポイント、あるいは展開予告を散りばめる辺りは漫画的。
そういった要素で次回以降に期待を持たせる上手さもあり、西尾維新にこのなが~いシリーズを任せたのは正解なんでしょう。
とりあえず前作以上に続きが楽しみになりました。


採点  3.7