『刀語 第1話』(☆3.5)



「虚刀流はよ、刀を使わないからこそ強いんだ」;伝説の刀鍛冶、四季崎記紀(しきざききき)がその人生を賭けて鍛えた12本の"刀"を求め、無刀の剣士・鑢七花(やすりしちか)と美貌の奇策士・とがめが征く!刀語(カタナガタリ)、第1話の対戦相手は真庭忍軍十二頭領が1人、真庭蝙蝠!!
衝撃の12ヵ月連続刊行企画"大河ノベル"第1弾!;西尾維新が挑む時代活劇!こんな物語を待っていた! 

yahooより

やっと図書館から順番が回ってきました、清涼院流水と共に挑む、12ヶ月連続刊行の大河ノベル刀語』。
架空の時代を舞台に、伝説の12本の刀を求める旅、これが基本のストーリー。
わかりやすくいえば、山田風太郎風伝奇時代劇をラノベ風ファンタジー時代劇に仕立て上げたって感じでしょうか。

第1話ですからコアな物語というよりも、これから続く物語の読み方指南的な要素が強い出来ですが、まあさすがに面白いと思います。
著者お得意の戯言パワーも初の時代劇(ただし架空の世界)ということで、まだまだ手探り状態という感じがしますが、回が進めばその辺も落ち着いてくるでしょうね。

いやあ、それにしても金偏の漢字が多いこと多いこと。
まず主人公の苗字の鑢、やすりと読みますが普段まあ間違いなく目にしない漢字ですからね、覚えるのが大変^^;;
ちなみに集める刀にも当然銘がついています。
自分の整理の為にも並べておきましょう。

絶刀・鉋(かんな)  残刀・鈍(なまくら)
千刀・鍛(つるぎ)  薄刀・針(はり)
賊刀・鎧(よろい)   双刀・鎚(かなづち)
悪刀・鐚(びた)    微刀・釵(かんざし)
王刀・鋸(のこぎり)  誠刀・銓(はかり)
毒刀・鍍(めっき)   炎刀・銃(じゅう)

1/3は読めません、はい(開き直り)。
おそらく基本的な構図は刀の持ち主の町を訪れる→戦う→刀の蒐集、ついでにちょろっといろいろな謎があきらかになる。
これが12ヶ月続いたら、全部集まるって事でしょう。
実際に著者による「あとがたり」にもそう書いてあるし。

今回は風太郎ばりの特異体質を持った忍者:真庭蝙蝠との対決。持ってる刀は絶刀・鉋。
しかしながら、この鉋という刀、はっきりいって目立ちません。
なぜならそれ以上に真庭蝙蝠の体質の方が絶対変なので(笑)。
お前の胃袋はドラえもんの四次元ポケットか状態の上、人間の息を超えた変装術。
ほんと、風太郎先生の作品に出てきてもおかしくはありません。
戦闘シーンのシンプルさや運が大きく作用するあたりなんかも、ちょっと『魔界転生』を思い出さないでもありません。
ただ両作家の持ち味が全然違うので、あまり比較するのはよくないかもしれませんね。

まあ、問題があるとすれば、基本的にはパターン踏襲型の漫画的ストーリーなだけに、途中で飽きないかということ。
その辺は本作でもちらりと触れられる主人公七花ととがめの因縁物語や、とがめの真の目的などでフォローしていくんでしょう。
とにかくエンタメ作家としての地位を築きつつある西尾維新なので、しっかり期待はしたいと思います。


採点  3.5