☆難病患者医療費補助 見直しへ

『パーキンソン病など2つの難病患者への医療費の補助について、厚生労働省有識者懇談会は11日、「患者数が基準の5万人を大きく超えており、比較的症状の軽い患者は補助の対象から外すべきだ」とする内容の意見を取りまとめました。
  厚生労働省有識者懇談会は、激しい下痢や腹痛が起こるかいよう性大腸炎と、神経が侵されるパーキンソン病の2つの難病について、医療費の補助を受けている患者の数が基準の5万人を大幅に超えたとして、比較的症状の軽い患者への補助を打ち切るべきかことし8月から議論してきました。11日の会議では、一部の委員が「難病の薬は高いため、補助をなくすと治療を控えて症状が悪化する患者が出るおそれがあり、慎重に検討すべきだ」と指摘しましたが、多くの委員からは「限られた予算をさまざまな難病に公平に配分するには、補助の見直しはやむをえない」という意見が出されました。この結果、かいよう性大腸炎で「軽症」と診断された患者とパーキンソン病で症状の程度が5段階のうち「3度」と診断された患者を補助の対象から外すべきだとする意見を取りまとめました。厚生労働省は、この意見を踏まえ、来年10月から補助の見直しを行う方針で、医療費の補助を受けている難病患者が対象から外されるのは初めてのケースとなります。会議を傍聴した患者らは「補助が打ち切られると、副作用が強くても安い薬で我慢するようになるかもしれない。何とか見直しを働きかけたい」と話していました。』

11日NHKより
 厚生労働省特定疾患対策懇談会(座長=金沢一郎・国立精神・神経センター総長)は11日、治療費が公費負担の対象となっている難病のうち、パーキンソン病潰瘍性大腸炎について、症状の軽い患者を対象から外すよう提言した。難病の「患者数が5万人未満」という用件を上回っているため。厚労省は、早ければ来月10月にも支援対象を見直す可能性がある。
 懇談会は、パーキンソン病(約7万3千人)と潰瘍性大腸炎(約8万人)について、「希少性を満たさなくなった疾患を対象とし続ける事は、それ以外の難病との公平性を欠く」と指摘。潰瘍性大腸炎の対象は「臨床的重症度が中等症以上」に、パーキンソン病は、5段階の重症度で3度以上から4度以上に引き上げるとした。推計では、提言通りだと、潰瘍性大腸炎は66%、パーキンソン病は51%の患者が対象から外れるという。

12日朝日新聞より
厚生労働省特定疾患対策懇談会(座長=金沢一郎国立精神・神経センター総長)は11日、難病として特定疾患に指定されているパーキンソン病とかいよう性大腸炎の軽症者など一部患者について、医療費補助の対象から外すことを決めた。見直しは1972年の事業開始以来初めて。来年10月以降、対象外になる患者には通常の医療保険制度が適用される。 

11日、時事通信より
厚生労働省特定疾患対策懇談会が、潰瘍(かいよう)性大腸炎とパーキンソン病の軽症患者を、医療費補助対象から除外する案をまとめたのに対し、自民党厚生労働部会は12日、経過措置を設けるよう政府に求めることを決めた。
これを受け厚労省低所得者については、現行の補助を維持する方向で検討を始めた。』

12日読売新聞社サイトより

なんともいえない気分である。厚生労働省特定疾患対策懇談会というのは本当に患者の事を考えているのだろうか。
そもそも、5万人を超えたから難病指定を見直すという定義がおかしいのではないか?患者が増えたから難病ではない?
難病対策要綱によると、「(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されている。
患者が稀少だから難病だと考えるより、現段階の医療分野において原因不明であり治療法が確立されていないからこそ難病ではないのか?
症状によっていは軽度の段階で現在考えうる最適な治療を経済的な問題により受けることができず、それによって症状の進行を早める可能性を考えないのだろうか?

僕は医療分野においてまったくの素人である。しかしながら間近でパーキンソン病と闘っている父親を見ている。
患者や家族にとって症状の軽重度は問題ではない。病気と闘っていくのに重い軽いからも無いのだ。しかも現時点は直る見込みのない、長い闘いなのである。
その中では永続的に治療費が発生するわけで、その経済的負担は大きい。確かに公費負担の割合は大きくなっているのかもしれない。
それを「公平性を欠く」の一言で片付けるのはあまりにも患者を無視ししている。そもそも、この点に関して公平性を欠くと思う人がどれだけいるというのだろう。

それにしてもほかの予算を削ってなお足りないというのならまだ検討の余地があるかもしれないが、本来最後まで守られるべき福祉の分野(いってしまえば不特定多数をしめる一般層《弱者》)から削っていってるようにしかみえない。
例えば障害者自立支援法の改定による障害福祉サービスの利用者負担、あるいは要介護認定制度の見直しなどもそうだ。
またしても身内の話になるが、僕の叔父(父の弟)は知的障害者であり長年知的障害者施設に入所している。しかし介護認定の見直しを踏まえた施設による事前の認定では、3年後には施設を出て行かなければなるとの結果がでた。

確かに予算や人員的な問題もあるのだろうが、厚労省は3年の措置期間があったからといって知的障害者が完全に自立した生活が出来るとでも思っているのだろうか。
もちろん親族もやれるだけの事はしなければならない。まだ我が家の場合、僕がいるから万が一認定が確定したとしてもなんとかなるだろう。
しかしながら患者個人、あるいはその保護者にかんしても高齢化が進んでいる。その中で、今まで慣れ親しんだ環境を離れる事はお互いにとって多大な負担になってしまう。

本来国民は人間として最低限の生活を求める権利があり、国はそれを保護しなければいけないはずだ。
そういった意味では、医療・福祉分野というのは最後まで保護されなければいけない領域のはずである。改革改革というが、それは国民の為の改革であるべきであり、官僚や政治家の為の改革であってはならないのではないか。
今回の決定を受け与党自民党の中では多数の批判意見が起こっているようだ。これが来年の参院選を睨んだポーズに終わらなければいいのだが。。。