最終回前編はこちら
呆然とした表情でみんなが見つめる中、擬宝珠は青空に彼方に消えていった。
そして訪れる静寂。
誰もが目の前で起こった事態を信じられない面持ちでその場に立ち竦んでいた。
そして訪れる静寂。
誰もが目の前で起こった事態を信じられない面持ちでその場に立ち竦んでいた。
とその時、武道館の入り口から人影がよろよろと現れた。
貧ぼっちゃまの格好をしたアーニスさんだ!!
貧ぼっちゃまの格好をしたアーニスさんだ!!
アーニスは我々の姿を確認すると、安心したかのようにその場に崩れ落ちた。
慌てて近寄る鉄板句女達。
慌てて近寄る鉄板句女達。
とりあえず、みら~さん特製コーヒーを飲み一息ついたアーニスに常連客が質問を浴びせる。
「ちいらんばだ会長は、野いちごじゃむさんと一緒に玉ねぎに乗って遠い世界に・・・。」
「あれから私達は、伝説のビニ本が隠されてたあの擬宝珠に向いました。
そこにはちゃんとプリントされた伝説のビニ本と、そのデータが収納されていました。我々はそれに火をつけ抹消したのです。これで伝説のビニ本をやっとこの世界から消滅させる事ができました。すべてが終わったと思いました。あとはみなさんの元に戻るだけというところで、彼は・・・」
そこにはちゃんとプリントされた伝説のビニ本と、そのデータが収納されていました。我々はそれに火をつけ抹消したのです。これで伝説のビニ本をやっとこの世界から消滅させる事ができました。すべてが終わったと思いました。あとはみなさんの元に戻るだけというところで、彼は・・・」
何が起こったの?
興味津々のメンバー達。
興味津々のメンバー達。
「彼は私を玉ねぎの外に突き飛ばすと、蓋を閉めて野いちごさんと共に中に閉じこもったのです。私は懸命に彼に声を掛けました。
しかし彼は中から笑顔を見せるだけで。おそらくすでに正気に戻っていたのです。そして自らの行動を悔い、その責任を取ろうとしたのでしょう。
そして遂に玉ねぎが作動して、彼らは・・・。私には止めることが出来ませんでした。発射の炎に巻き込まれ、ここまで戻るのがやっとでした。。。」
しかし彼は中から笑顔を見せるだけで。おそらくすでに正気に戻っていたのです。そして自らの行動を悔い、その責任を取ろうとしたのでしょう。
そして遂に玉ねぎが作動して、彼らは・・・。私には止めることが出来ませんでした。発射の炎に巻き込まれ、ここまで戻るのがやっとでした。。。」
そんな、そんな事って。せっかくアーニスさんが頑張って正気に戻したのに、これじゃあまだ正気に戻らない方が・・・。
よく見ると、貧ぼっちゃまのコスプレと思っていた服装は、その時の炎で服の一部がやけたナチュラル貧ぼっちゃまだった。
しかし、そんな自分の傷すら気にならないほどにアーニスは憔悴していた。
そんな彼を女将がもぎゅもぎゅっと抱きしめる。
しかし、そんな自分の傷すら気にならないほどにアーニスは憔悴していた。
そんな彼を女将がもぎゅもぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫、大丈夫ですお義兄さん。きっとちいらんばださんには気持ちは伝わったはずです。
いつかお義兄さんの前に戻ってくるはずです。だからその時まで。」
いつかお義兄さんの前に戻ってくるはずです。だからその時まで。」
あまりに哀しい結末に、メンバーの目からは涙がこぼれている。
純朴さんに至っては涙だけに留まらず、○○まで。名前通りほんとうに純朴なのね。
それらを拭く為に妙に派手なちり紙を取り出して拭っている。
純朴さんに至っては涙だけに留まらず、○○まで。名前通りほんとうに純朴なのね。
それらを拭く為に妙に派手なちり紙を取り出して拭っている。
とにもかくにも、こうして川柳大会は幕を閉じた。
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そして、ついに鉄板句女がプチ家出を終え自宅に戻る日が来た。
昨日の夜はkatty's cafeで送別会が開かれた。最初はしんみりとした雰囲気で進んでいたがそこはkatty's cafe、酒が入るにつれていつもの大宴会モード。
なぜかみんな仮装のまま参加して、思い思いの芸を披露して鉄板句女との別れを盛大に盛り上げた。
そんな中サングラスが無くいつもと勝手が違うのか、店長だけがちょっと落ち着いてしまってたのが残念だったけど。
昨日の夜はkatty's cafeで送別会が開かれた。最初はしんみりとした雰囲気で進んでいたがそこはkatty's cafe、酒が入るにつれていつもの大宴会モード。
なぜかみんな仮装のまま参加して、思い思いの芸を披露して鉄板句女との別れを盛大に盛り上げた。
そんな中サングラスが無くいつもと勝手が違うのか、店長だけがちょっと落ち着いてしまってたのが残念だったけど。
今、店の前に集合しているメンバーの顔にははっきりと二日酔いの兆候が現れていた。
それでも本当に鉄板句女の別れということで、メンバーには寂しさが漂っていた。
それでも本当に鉄板句女の別れということで、メンバーには寂しさが漂っていた。
「短い間でしたけどみなさんには本当にお世話になりました。みなさんと過ごしたこの時間、一生忘れないです。
本当にありがとうございました。」
本当にありがとうございました。」
別れの挨拶を言ったあと、鉄板句女は用意したプレゼントをみんなに手渡す。
店長には無くなったサングラスに良く似た物を、マダムには髪を結うための超特大リボンを、まぁまぁには薔薇の詰め合わせセット、女将には新しいかんざし、などなど・・・。
ビニ本団長には伝説のビニ本には及ばないけど、偶然見つけた自販機(そこで初めてビニ本の意味を知った)でかったビニ本。買うときに自販機が大声で喋ってちょっと恥ずかしかったけど。。。
店長には無くなったサングラスに良く似た物を、マダムには髪を結うための超特大リボンを、まぁまぁには薔薇の詰め合わせセット、女将には新しいかんざし、などなど・・・。
ビニ本団長には伝説のビニ本には及ばないけど、偶然見つけた自販機(そこで初めてビニ本の意味を知った)でかったビニ本。買うときに自販機が大声で喋ってちょっと恥ずかしかったけど。。。
そしてアーニスの前に来ると、一枚の紙を渡した。それは川柳大会の投句用紙。
そこにはこう書かれたいた。
そこにはこう書かれたいた。
プチ家出 行く着く先は 古本屋 四次元世界の ふしぎなぽっけ
驚いたアーニスさんが顔をあげ、鉄板句女を見つめる。
「これは!?」
「これははじめてちいらんばださんと会った時に読んだ川柳なんです。プチ家出をして寂しかった私をここに連れてきてくれたちいらんばださんの顔は本当に優しくて、ただ単純に本好きの顔だったんです。本当は川柳大会に投句するつもりだったんですけど、その時間が無くて。
だからもしちいらんばださんが帰ってきたら、アーニスさんからこれを渡して欲しくて・・・。」
「・・・ありがとうございます。」
「これははじめてちいらんばださんと会った時に読んだ川柳なんです。プチ家出をして寂しかった私をここに連れてきてくれたちいらんばださんの顔は本当に優しくて、ただ単純に本好きの顔だったんです。本当は川柳大会に投句するつもりだったんですけど、その時間が無くて。
だからもしちいらんばださんが帰ってきたら、アーニスさんからこれを渡して欲しくて・・・。」
「・・・ありがとうございます。」
アーニスの目から涙がこぼれる。
常連客の面々がアーニスの傍に寄ってきて紙に書かれた川柳を覗き込む。
常連客の面々がアーニスの傍に寄ってきて紙に書かれた川柳を覗き込む。
「素敵な川柳ね~。でもなんだかそのまま♪」
「ほんとほんと、これじゃあ誰が詠んだかすぐ分かっちゃうぞ♪」
「でも、そこがめぽさんらしいかも♪」
「っていうか、これが投句されてたらここのメンバー、みんなそれに投票してたんじゃない。」
「まさに鉄板句ですね、う~~~~~~~ベリグ~~~~!!」
「ははは、これが鉄板句だったら詠んだめぽさんはさしずめ鉄板句女さんって事かしら!!」
「ほんとほんと、これじゃあ誰が詠んだかすぐ分かっちゃうぞ♪」
「でも、そこがめぽさんらしいかも♪」
「っていうか、これが投句されてたらここのメンバー、みんなそれに投票してたんじゃない。」
「まさに鉄板句ですね、う~~~~~~~ベリグ~~~~!!」
「ははは、これが鉄板句だったら詠んだめぽさんはさしずめ鉄板句女さんって事かしら!!」
みんなから爆笑が起きる。
鉄板句女・・・どこかユーモラスで、でも温かい響き。鉄板句女の心にみんなの言葉ひとつひとつが染み渡っていく。
ここまでこらえていた涙が一気に溢れてくる。そんな鉄板句女につられ常連客達からも涙が。
純朴さんはまたしても派手なちり紙で涙を拭い、その場に放り投げる。
鉄板句女・・・どこかユーモラスで、でも温かい響き。鉄板句女の心にみんなの言葉ひとつひとつが染み渡っていく。
ここまでこらえていた涙が一気に溢れてくる。そんな鉄板句女につられ常連客達からも涙が。
純朴さんはまたしても派手なちり紙で涙を拭い、その場に放り投げる。
「純朴さん!!店の前ではポイ捨て厳禁ですよ!!」
そういいながら店長が紙を拾う。それをゴミ箱に捨てようとしたのだが・・・
「これって!!」
突然美声を張り上げる店長。何事かと鉄板句女達が取り囲む。
くしゃくしゃに丸められた紙を広げたそこには・・・
くしゃくしゃに丸められた紙を広げたそこには・・・
『門外不出伝説!!アーニスコスプレ写真集(貧ぼっちゃま編)』
え~、アーニスさんの写真集!?も、もしかしてこれって!!
「じ、純朴さん、一体これをどこで?」
店長も動揺を隠せないようだ。。。
「えっと、店長のサングラスを乾かしに武道館の玉ねぎに行ったときにその隙間から何枚かはみ出てたですぅ。そしたらアーニスさんが写ってて。
みんなに見せようと思ってたんですけど、すっかり忘れてたですぅ、エヘッ♪」
みんなに見せようと思ってたんですけど、すっかり忘れてたですぅ、エヘッ♪」
バシッ♪(純朴さんの声)
店長の鞭が一閃、純朴さん悶絶。
「もしかしてこれが伝説のビニ本の正体・・・」
みんなが一斉にアーニスを見つめる。恥ずかしそうに俯くアーニス。
沈黙、そして大爆笑。
なにもかも吹っ飛ばすようなみんなの笑い声があたりを包む。
そしてマダムによって火をつけられ灰となったそれは空中に散っていった。。。
沈黙、そして大爆笑。
なにもかも吹っ飛ばすようなみんなの笑い声があたりを包む。
そしてマダムによって火をつけられ灰となったそれは空中に散っていった。。。
「じゃあ、いよいよ本当にお別れね・・・寂しいわ」
店長がそう呟く。
「でも家族が待ってるんですもの、しょうがないわね。」
「そうそう、『絵本読む 吾子の上に 紅葉落つ』って言いますし、子供の成長にはやっぱりお母さんが一緒じゃないとね♪」
「あら、素敵な川柳ね。こぶさん、それ誰の句?」
「えっと・・・僕のです。」
「ふふっ、こぶさんもなかなかにロマンチックね♪」
「あら、素敵な川柳ね。こぶさん、それ誰の句?」
「えっと・・・僕のです。」
「ふふっ、こぶさんもなかなかにロマンチックね♪」
最後の最後まで鉄板句女の別れを惜しむ常連客、そして店長。
「それじゃあ・・・行きますね。みなさん、お元気で!!」
零れる涙を拭いつつ、鉄板句女は荷物を持つ。
「めぽさん・・・いえ、鉄板句女さんこそ体に気をつけて。家族を大切にね。
でも寂しくてどうしようもなくなったら、いつでもプチ家出をしてらっしゃい。いつまでも待ってるから。。。」
でも寂しくてどうしようもなくなったら、いつでもプチ家出をしてらっしゃい。いつまでも待ってるから。。。」
長かったような短かったような時間。
鉄板句女の脳裏にみんなと過ごした時間が走馬灯のように甦る。
これからどんなに辛いことがあっても、寂しいことがあってもみんなと過ごした時間があれば大丈夫。
でも時々、プチ家出をしてみよう。その時は、「ふしぎなぽっけ」で本を買い、「katty's cafe」を訪れよう。
鉄板句女の脳裏にみんなと過ごした時間が走馬灯のように甦る。
これからどんなに辛いことがあっても、寂しいことがあってもみんなと過ごした時間があれば大丈夫。
でも時々、プチ家出をしてみよう。その時は、「ふしぎなぽっけ」で本を買い、「katty's cafe」を訪れよう。
「ただいま~~~~~~~~~~~~」
(完)
たいりょう&めぽ