『ビニ本団長と鉄板句女』 第十四回「Mr.Gの思惑」

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「Katty店長、どうやら例の地図が出来上がったようですぜ。」
「え!?例の地図が‥」
驚くKatty店長。
その隣では、マダム白猫の巻き毛ヘア攻撃からシャドウボクシングのように
逃げ回っている忍者・純朴がいた。


例の地図とは‥?川柳大賞の絵の他にもビニ本の秘密を握るものがあったのか?
偵察組は一体、何をしようとしているのか?

ビニ本団長と鉄板句女』 第十四回「Mr.Gの思惑」


「これがその地図です。」

Mr.Gはレオタードの胸元からおもむろに地図を取り出す。
受け取るkatty店長。

「・・・湿ってるわね。」
「すいません、今日は少々暑いもので・・・」

だったらコート脱ぎなさいよ!!っていうか、ポケットに入れとけばいいじゃん。
いつのまにか、Mr.Gのレオタードには花柄模様が浮き出ている。
特殊素材?もしかして私のレオタードも???
隣に佇むらいすさんを見ると、彼も不安そうに自分のレオタードを眺めている。

「これは、この周りにある屋台の一覧地図みたいね」
「ええ、おそらくその通りでしょう。つまりこの屋台の中になにか鍵を握る店があるのではないでしょうか。」
「なるほど。偵察組はそれを調べればいいのね♪」

kattyさんは妖艶な笑みを浮かべる。サングラスの中の瞳が妖しく輝いている。

「マダム、純朴さん。いきましょう。これらの屋台をすべて制覇するわよ♪」

レーニング(?)に没頭していたマダム白猫と純朴がkattyを見る。

ドゴッ♪

油断大敵、マダムの巻き上げ髪が再び純朴を直撃。
悶絶する純朴さん。でも、今「ドゴッ♪」って自分で言ってたよね。。。

「店長も 純朴も飛ばし 振り回す 巻き上げヘアーは 今日も無敵よ♪」

いや、マダムそういう問題では、っていうかそれ短歌になってますよ。。。

「とりあえず私とマダムはお酒担当、純朴さんは食べ物担当ね♪」

酒という単語を聞いた途端、マダムの巻き上げ髪の高さが一段と高くなった・・・ような気がする。
純朴さんも食べ物という言葉を聞いた途端、復活したのか

「食欲の 秋というけど 一年中♪」

と川柳を叫ぶ。ほんとにこの人は・・・・っていうか皆さん大丈夫?任務わかってますよね?
早くも一軒目の虎風お好み焼き「気まぐれ」に飛び込もうとする3人。
不安のあまり声を掛けようとする鉄板句女。その気配を察知したのか純朴が振り向く。
絡み合う2人の視線。
私の心配が伝わったかな?そう考える鉄板句女に対し、純朴はまさに純朴!!というべき素敵な笑顔を浮かべ、

「忍者だが 誰にも譲らん ドジッコは♪ですよ!!」

と一言残し、屋台に飛び込んだ。
えっと、純朴さん、意味分からないし、別に譲って欲しいとおもってないんですけど。
っていうかなぜ私に言うの?私ってそんなにドジかしら?
悩む鉄板句女にMr.Gがスッと近寄る。

「Gさん、あの人達大丈夫かしら?任務忘れてそうなんですけど。。。」
「安心して下さい、めぽさん。「『巻き上げに 対抗するには かき揚げ丼』ですよ。」

は????
決まったといわんばかりの会心の表情を浮かべるMr.G。
しばしの沈黙が漂う。
戸惑ってる鉄板句女に気付き不満そうなMr.G。

「つまりですね、彼女達は偵察隊という名の囮なんですよ。」
「囮ですか!?」
「そう、彼女達があのとんでもなく目立つ変装をしてくるのは計算していました。そう、とても目立つ扮装を。つまり彼女達がいかにも怪しい格好でうろうろすれば本楽堂の人間は彼女達をマークせざるを得ない。そうすれば私達の正体がバレる心配がなくなりますからね。念の為に酒と食べ物を添えておけば準備万端。まさに完璧なプラン、「どこの誰だ 俺とゴルゴを 間違うのは」ですよ、フハハハハ。」

そ、そんな事まで考えていたの!?さすが参謀!!
でも、私達のレオタード姿も十分怪しい気がするのは気のせいかしら?
思わず、呟く鉄板句女。その声はMr.Gにも聞こえたらしい。

「安心して下さい。万が一ばれた時は『盗れぬなら 燃やしてしまうか 武道館』ですよ、フフフフ・・」

いや燃やしたらこの計画なんの意味もないじゃないですか??
大丈夫なの、こんな人に計画を立てさせて。

「では私達もそろそろ動き始めましょう。とりあえずは武道館のスタッフルームに潜入する道を探すのが先決ですね。」

ええい、もうなるようになれ!!
その場を離れようとした3人に、まぁまぁが大声で忠告する。

「皆守ろう 投句はあくまで 内緒だよ!!」

いや、こんなテーマとかけ離れた川柳を投句したって入選しませんよ。
心の中で突っ込みつつ2人のあとにとぼとぼついて行く鉄板句女。


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そのころ、女将は周囲の喧騒から離れた木陰の中で一人考え事をしていた。
武道館でのMr.Gの発言、「この中に裏切り者がいるかもしれない」という一言が彼女の中で引っ掛かっていたのだ。

「裏切り者・・・本当にそんな人がいるのかしら・・・・いるとしたら、まさか・・・・あちきはどうしたらいいのでしょうか・・・」

頭の中である人物の影が消えたり現れたりしている。
普段は冷静な女将もさすがに心を乱している。
その苦悩はその被り物越しにも伝わってくるほどだった。

そんな女将にゆっくりと近づいてくる影。
テニスラケットを背負い、「あんビール」と書かれたテニスウェアを着た女。
考え事に集中しているせいか、その気配にまったく気付いていない女将。

果たして影の正体は?そして女将は?
                                            (第十五回へつづく)

※店の名前、個人名などはほぼフィクションです(笑)