『Q.E.D.証明終了 24』 著者:加藤 元浩


出来不出来こそあるものの、本格推理に対する真摯な取り組みと、殺人事件だけではなく日常の謎的な事件も描き、個人的にはかなり好感を持ってるシリーズです。
さえさんのブログの記事でかなり褒めてらしたので、期待を持って購入。

帯の文句が

本格ミステリの金字塔にして最前線(フロントライン)!
ホンモノの衝撃がここにある――!!

かなり大げさな宣伝文句ですが、実際読んでみるとこの言葉に偽りなし、だと思いました。

収録作は2作。
まずは、「クリスマスイブイブ」。

12月23日。クリスマスイブ恒例(?)の栗よーかんパーティに持っていくプレゼントを買うためにバイトを始めた主人公達。
そのバイト先のカラオケボックスで不思議な事件が起こります。

小粒ながらそれなりの好編。事件そのものは単純ながらも、それにまつわる人々の感情がうまく絡まっていい余韻の終わり方に繋がっています。
また漫画ならではのヒントの配置も仕方もいいですね。

そしてもう一つの収録作『罪と罰』。
これがとんでもない作品でした。ミステリマンガ史上に残る傑作といっても過言ではないというか。

ストーリーとしては、とある苦学生が近所で多発している泥棒に便乗して、犯罪を計画したことが発端となるわけですが、このお話にはさえさんも言われている通り、このシリーズの中でも最も異質の試みがなされています。
漫画である事を最大限に利用した描き方は、ミステリマンガに間違いなく一石を投じると思います。
なぜ小説ではなく漫画なのか。この命題を純粋に作品として消化しきっていて、読み終えたあとすぐに読み返してしまいました。

もし、このシリーズを読んでない人でもミステリ好きであれば、この巻だけでも是非読んで欲しい漫画です。

ちなみに同じ作者の本格ミステリ漫画『C.M.B』も同時発売。
基本的にこの2つの作品を同時にやる意味があまりよく分からないんですが、こちらもそれなりに考え抜かれてる作品になってます。
ただ主人公コンビの魅力だと、『Q.E.D.』の方が僕は好き。
ヒロイン(?)水原可奈の人間離れした行動力(身体能力?)と気持ちのいいわがままっぷりが大好きです。