『夜は千の鈴を鳴らす』

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 マンションの一室。女社長と若い秘書が話している。ひょんなことから女社長は秘書を挑発するように「私を完全犯罪で殺害出来れば、土地を譲る」と口にした。そして10日後、女社長は寝台特急「あさかぜ」内で死体となって発見された。死ぬ前に「ナチが見える!」という謎の言葉を残して。 


これは、どう評価していいのか非常に困る作品ですね~(笑)。
ここに使われている過去の事件のメイントリックが、高木彬光氏の作品で使われているトリックと、それを使う動機がまんま同じなんですよね~。
僕の場合読んだ順番は高木氏の方が先だったのですが、この本読み始めてすぐにトリックに気がつきましたからね~。

作品としては、この小説も小粒ですが面白いです。高木氏の作品と比べると作品の方向性もまったく違いますし、一概にパクリというほどの問題でもないのかな~、という気もします。
ただ、どうしてもここまで同じ手法だと、もう少し何か味付けが欲しいというのも確かなんですよね~。
この方法を取らざるおえなかった動機の部分にもう少ししっかりしたものがあれば、もっと素直に感動できたかも、と思うのは事実ですね。
特に犯人があんな結末を迎えるだけに、なおさら惜しいという気も。
映像化すると綺麗な作品になるかもしれませんね。

それにしても、現代の事件で追い詰められた犯人のとった行動もすごいです(笑)


プロット2.0(それなりに組み立てられてますが、そのベースがトリックの流用なのが。)
トリック1.0(ひねりもなく、そのまま有名作品のトリックをつかったのでこの評価に。)
ストーリー2.5(過去編はまずまず、とにかく現代編の描き方が中途半端。)


総合2.5