『殺意は必ず三度ある』(☆3.6) 著者:東川篤哉



のんきを絵に描いたような鯉ヶ窪学園。敗退を続ける野球部グラウンドからベースが盗まれてしまう。オレ(=赤坂通)が唯一の下級生として在籍する探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部とライバル校との練習試合終盤に事件は起きた。白昼堂々、球場で発見された野球部監督の死体に騒然となる両校関係者と捜査陣。動機は不明、球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷をきわめる事件に、オレたち探偵部三人が事件に首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは…。

yahoo紹介より

『学ばない探偵たちの学園』の続編ながら、東川篤哉作品はこれが初めてという無茶な読み順。
そもそも東川作品を読んだ事がないことは、僕自身がミステリ読みとしてかなり保守派という証明をしてるような気もしますが。
まあ言い訳するなら、作品の好みが保守的な訳でなく作家の開拓について保守的っていうだけですよ。
そういった意味では、ほんとブロガーの皆さんの記事は大変参考になるわけで・・・

すいません、どうでもいいですね。では感想を。
基本的にこういう小説は好きです。ミステリとしてはきわめて正統派、トリックも悪くないし、ミスリーディングもしっかりしている。
なにより、少々(かなり)バカなヤツラが醸し出すユーモア要素の描き方が実に板についている。
直前に読んだのが『仮面幻双曲』ということもあり(←失礼^^;;)、非常にサクサク読めました。

主人公三人組が所属する「探偵小説研究部」、略して「探偵部」。学校の中でもかなり怪しい存在として認識されてる。
実際僕も高校時代美術部の掛け持ちとして、「大予言研究会」なるものに所属していただけになんとなく彼らが他人とは思えない(笑)。
彼らが繰り出す推理もかなりお馬鹿なものもたくさん、でもその中から徐々に本命ともいうべき事件像が浮かび上がってくるという筋立ては読んでて愉しい。
実際に事件で使われたトリックも、野球場(特に草野球とかもやりそうなちっちゃいやつ)を知ってる人なら、実行性はともかくああなるほど~と思いました。
そういった意味で、実は事件のトリック自体は大体想像通り、そして犯人も当たりました。
唯一外したのはこの事件の探偵役ぐらいかな~。でもこの事件にはこの探偵という台詞が作中にも合った通り、終わってみればこの探偵でなければと納得しきりでございました。

もう出来としてはなんとなくですが、作者の得意なジャンルでそつなくこなしたという印象。他の小説もこういったものが多いんですかね。
とりあえず『学ばない探偵たちの学園』が地元の図書館の蔵書には無かった為、その図書館を通じて隣の市の図書館から取り寄せてもらうことにしました。
ちょっと追いかけてみようかなと思う作家さんかな~と思うので、東川作品はこれを読まないと、というのがありましたら是非教えてくださいませ。