邦画『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017 日本映画)

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ブラック企業で働く青山隆(工藤阿須加)は、仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた。疲労のあまり駅のホームで意識を失い、危うく電車に跳ねられそうになってしまう。すんでのところで青山を救ったのは、幼馴染みのヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男。だが、青山には彼の記憶がまったく無かった——大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせる謎の男、ヤマモトと出会ってからというもの、青山は本来の明るさを取り戻し、仕事の成績も次第に上がってゆく。そんなある日、青山はヤマモトが深刻な表情で墓地行きのバスに乗車するところを見かける。不審に思った青山がヤマモトについて調べてゆくと、何と3年前に自殺していたことが分かる。それではヤマモトと名乗る、あの男は一体何者なのか? その真実が明らかとなるラストに、誰もが涙する感動の物語。


* 監督:成島出
* 脚本:多和田久美、成島出
* 原作 - 北川恵海『ちょっと今から仕事やめてくる』

* ヤマモト:福士蒼汰
* 青山隆:工藤阿須加
* 五十嵐美紀:黒木華
* 大場玲子:小池栄子
* 山上守:吉田鋼太郎
* 青山容子:森口瑤子
* 青山晴彦:池田成志


 ブラック企業で働く青山が意識を失い電車に跳ねられそうになったところを幼馴染を名乗るヤマモトに助けられて、というところまでしか予告編での知識が無いまま鑑賞。

 いやぁ、朝礼で復唱される隆の会社の社訓のブラック加減がいいです。
 「自己管理を怠らない社員になれ」や「やるき旺盛な社員になれ」とか、まあ社訓が持つブラックな意味を別にすればまだマトモに聞こえますが、「有給なんていらない。体はなまるから」とか「心なんか捨てろ。折れる心が無ければ耐えられる」なんて名言すぎて震えますね((((( ;゚Д゚)))))
 またそれを部下に押し付けるブラック上司を演じてるのが吉田鋼太郎という事で、リアルすぎる罵倒っぷりに心が震えます。ある意味この映画の裏MVPです。

 こんな企業にいたらいつかは鬱か自殺か機械になるかしかの将来しか見えません。劇中隆が言うように、ヤマモトに会わなければいつか死んでた、と思います。そういった意味では、正体不明のヤマモトとの出会いは、ほんとに彼にとって大きな出会いになったと思います。

 物語としては、いつ隆がブラック企業をやめると言えるのか、というのがメインどころですけど、それを言うためには当事者一人が勇気を持つだけじゃダメ。特に隆のようなある意味真面目な人は。いかに周りが気付き助けてあげらるかなんだと思います。そういった意味では隆には、ヤマモトだけじゃなく理解ある両親の存在が大きかったんでしょうね。

 主人公の真面目で不器用なキャラが工藤阿須加の雰囲気にピッタリというか、疑うことを知らずただ真面目に働こうとする姿に同情と合わせてもっと気づけよ〜と言いたくなります。
 ヤマモト役の福士蒼汰。正直ヤマモトの明るい関西弁のキャラは最初は似合わないな〜(竹内涼真とか菅田将暉のほうが似合いそう)と思ってたのですが、隆が会社を辞めてからの話(映画オリジナルの展開みたい)でヤマモトの物語が語られた時、ああ福士君でも良かったと思いました。でも関西弁はかなり怪しかった気がしますが^^;;

 とにかく、ブラック企業問題は現実に繰り返されてます。もしかしたら映画のブラック企業なんて目じゃないかもしれません。そういった意味でもいかに周りの人が気づいてあげられることが大事なのか、をよく伝えてくれてる映画だと思います。