平将門は大怨霊なのか? 将門塚の祟りの真相は? 論理と驚愕の歴史ミステリー! 触れた者に呪いが降りかかるという東京・大手町の将門の首塚。その塚が壊され、男の生首が転がった。京都・宇治川には、胴体だけの首なし死体が。これは将門のさらし首が宙を飛んだという伝説の再来か。数々の怪異を為し、GHQも恐れたと伝えられる将門怨霊伝説の驚くべき真相は? 歴史と事件の謎を解く長編ミステリー。 Amazonより
高田さんといえば歴史の謎と現在進行系ミステリのミックスが定番。時には、というと殆どの作品で、歴史の謎の薀蓄が現在進行形の事件を隅に追いやってしまうのがお約束状態ですが。
今回の最初の舞台になるのは京都の貴船神社。またここかいと・・(笑)。作中でも刑事達に触れられますが、代表作の「QED」シリーズでもクライマックの舞台になったし、「神の時空」でも登場したなぁ。今回死体は十寸釘で杉の木に打ち付けられている、どこまで恨みの闇は深いのか、という感じです。
そんな恨みに溢れた死体の次は、宇治橋の袂で首のないの死体が。貴船神社と宇治川の橋姫伝説。これもどこかで見た組み合わせ・・・。
さらには東京の平将門(これまた「QED」シリーズで登場済)の首塚で生首が発見されます。怨、怨、怨・・・。
さらには東京の平将門(これまた「QED」シリーズで登場済)の首塚で生首が発見されます。怨、怨、怨・・・。
そんなどこかで見た舞台で繰り広げられる連続殺人事件と並行して語られるのは、将門大怨霊説の真実。今回の語り手は京都出身東京勤務のOL・響子と、従兄弟の高校生・漣。
高田さんの小説の男女のコンビといえば、やっぱり「QED」シリーズのタタルさんと奈々ちゃんを思い出すのですが、この蓮くんのキャラクターがもう、タタルさんです。ボサボサ眺めの前髪、人付き合いの薄そうな雰囲気から繰り出される薀蓄の数々・・どこから見てもですが、それもそのはず、蓮くんはタタルさんのお弟子(?)のような関係。作中でもそれを匂わす会話があったのですが、終盤タタルさんに電話した時は、思わずツッコミそうになりました^^;;
高田さんの小説の男女のコンビといえば、やっぱり「QED」シリーズのタタルさんと奈々ちゃんを思い出すのですが、この蓮くんのキャラクターがもう、タタルさんです。ボサボサ眺めの前髪、人付き合いの薄そうな雰囲気から繰り出される薀蓄の数々・・どこから見てもですが、それもそのはず、蓮くんはタタルさんのお弟子(?)のような関係。作中でもそれを匂わす会話があったのですが、終盤タタルさんに電話した時は、思わずツッコミそうになりました^^;;
そんな漣くんに対する、響子さん。年齢関係が「QED」の二人と逆なので、奈々ちゃんに比べるとお姉さんキャラですが、「日本酒手酌の会」に入るぐらい酒好きなところは、奈々ちゃんにそっくり。さらには作中で、いくら私が理系だといっても、「くわばら、くわばら」は怨霊除けではなく、雷除けの呪文だというくとぐらいは知っていたが・・と漏らす場面がありますが、文系の人でもそんなに知られてない知識を持っているあたりも、なんだか素質を感じます。
で、ここまで「QED」の枠組みと重なるなら、そっちのシリーズで書けばいいじゃん、と思うのですが、今回披露される薀蓄と謎の解明は、なんとなく今まで各シリーズで触れてきた内容の復習というか総まとめみたいな雰囲気があって分かりやすい。なにしろ「QED」シリーズはコンビの二人が知識がある前提になっているので、読んでオオッってはなるけれど専門的すぎて読み終わって暫く経つと忘れてしまうぐらいディープ。それに比べると響子さんはもちろん、漣くんもまだまだ勉強中(?)なので、めちゃくちゃ難しいことは言わない。そういった意味では、この作品には新しいこのコンビが必要だったのかなと思えます。
で歴史の謎部分の印象ばかりに触れましたが、現実の事件に関していうと・・ううむ、、、やっぱり刺し身のツマ的な扱いというか。なぜその動機でここまでしちゃうのか、というのはもはやお約束の疑問なので横においておくにしても、死体をどういう風に木に貼り付けたとか、首を切って死体をどう放置したとかは殆ど描かれないし、そもそも特に捜査が困難な状況になることもなく、あっさりと解決しちゃいます。ヒントや証拠も基本後出し状態なので、読者ははぁそうですか、となるしかありません。
まぁ、高田さんのこの系統の作品を読む時にそっちの方はもはや誰も期待してないだろうと思うのであれなんですが、それにしてもこの内容の場合、事件部分をすっぽり抜いちゃっても内容として問題なく成立しちゃうと思うのは僕だけでしょうか・・・。
採点 | ☆3.0 |