『あなたは誰』(☆3.3)  著者:ヘレン・マクロイ

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「ウィロウ・スプリングには行くな」
 匿名の電話の警告を無視して、フリーダは婚約者の実家へ向かったが、到着早々、何者かが彼女の部屋を荒らす事件が起きる。不穏な空気の中、隣人の上院議員邸で開かれたパーティーでついに殺人事件が…。 
 検事局顧問の精神科医ウィリング博士は、一連の事件にはポルターガイストの行動の特徴が見られると指摘する。本格ミステリの巨匠マクロイの初期傑作。

Amazonより

 年度末も近づいてきて、なんだか飲み会も増え(お酒が殆ど飲めないので、ノンアルコールばかりですが)、読書のペースがだだ下がり。新刊買ったり、図書館本も回ってきたり、積ん読は増えてるんですけどね~。。。

 という事で、今年重点的に読もうと思ってるマクロイのウィリング博士シリーズ。これは第4弾になるんですね。前作の『ささやく真実』はかなりガチの本格だったですが、粗筋を読む限りポルターガイストなんて言葉も出てくるし、勝手にマクロイに期待してる路線なのかと思って読みました。

 冒頭の正体不明の脅迫めいた電話、あらされる部屋、誰が書いたか不明の悪意に満ちた素画、いないはずの人間と会話する子ども。。。小道具のお膳立てはそそられる。殺人事件が起きても中々容疑者が絞られないし、事件の全容が見えてこない。容疑者が少ないのは前作もそうだったけど、前作がみんな怪しかったのに対して、今作はみんなそこまで怪くしない。みんながみんな疑心暗鬼になっていくストーリー立ては分かりやすくてサクサク読める。
 ただ、ミステリとしてみると、ウィリング博士も殆ど活躍する姿が無いし、精神科医という設定もほとんど意味が無いよな~・・・
 って思ってたら、まさかの◯◯ネタ。そうか、もしかしてあの設定はこれを暗示してたのか?でも◯◯ネタだと分かっても、犯人が絞れないというのは捻りがきいてるといえるのかも。ただ、真相解明の場面で明らかにされるウィリング博士が犯人に気づいたエピソードは、ちょっと気づかないかも^^;;その分、前作のパタパタと事件の全貌が明らかになる快感に比べて、満足度は低いかも。

 エピローグの内容に関しては国内の某作家さんを読んだ時のように、それでいいのか的な内容ですが、あっちのよりはまだ後味が悪く感じないのは何故だろう・・・。

採点  ☆3.3