『レヴェナント: 蘇えりし者』 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

あらすじ

1823年、西部開拓時代のアメリカ北西部、極寒の荒野の中、狩猟をして毛皮を採取するハンターチームはネイティブアメリカンの一団に襲われ多大な犠牲にあいながら命からがら船で川を下る。チームのひとり、ヒュー・グラスはネイティブアメリカンの妻との間にできた息子、ホークとともにガイドとして同行していた。船を捨て山越えルートを選んだチームは森で野営する。翌早朝、グラスは見回り中に子連れの熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。急ごしらえの担架でグラスを運ぶが山越えには足手まといであること、瀕死でもあることから、隊長のアンドリュー・ヘンリーが死ぬまで見届け埋葬する者を募ると、ホークとジョン・フィッツジェラルド、若いジム・ブリッジャーが残ることになった。ジョンは2人がいない時にグラスを殺そうとするところをホークに見つかり銃を向けられるが、返り討ちにし殺してしまう。ジョンはジムを騙しグラスに軽く土をかけただけでその場を離れる。一部始終を見ていたが動けないグラスは奇跡的に一命をとりとめ、折れた足を引きずり這いながらジョンを追う。

 	
スタッフ

監督
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

 
キャスト

レオナルド・ディカプリオ
トム・ハーディ
ドーナル・グリーソン
ウィル・ポールター
フォレスト・グッドラック
ポール・アンダーソン
ブレンダン・フレッチャ


5度目のノミネートにして、レオ様ついに念願のアカデミー主演男優賞受賞!!
監督のイニャリトゥも2年連続の監督賞受賞。今年のアカデミーの話題作。

 予告編の段階で濃ゆいレオ様のカットの連発。そして、すごくドロドロそうな復讐劇の展開・・・好物な予感。
 映画の客入りは半分程度。これだけの話題作、もう少し昔だったらもっと客は入ってたのか、それとも単に地方の映画館だからか。。

 オープニングから英語でも日本語でもない、少数民族?の言語が飛び交い戸惑う。しばらくしてレオの子供は先住民の女性との間に生まれた息子がいて、その息子に語りかけているという設定のようだ。美しい山間の風景が堪能できる・・・と思う暇もなく、オープニング早々ネィティブアメリカンの襲撃を受ける。俯瞰と煽りのショットがあたかも原風景の中で神の視点と人の視点を示しているような荘厳な感覚を受ける。映画全編を通して、どこか宗教めいた空気を出している。
 但しディカプリオも含め、そこに登場する人物は例外がないほど生々しい。ディカプリオであり、トム・ハーディしかりだ。それぞれの生き方・考え方が生々しく交錯していく

 原風景、そして生きることの生々しさ。極論をいえばこの映画はこの二つしかない。媒介としての物語は存在するが、シンプルすぎるくらい単純な物語であり、約三時間という上映時間も踏まえて、時として冗長だとすら感じた。この冗長さを是とするか否とするかでこの映画の評価は大きく分かれると思う。

 僕は正直冗長さがダメだった。とにかくシンプルな筋立ての上、物語の進行が極端に遅い。映画のキーである息子の死についても、トム・ハーディーの行動が自己中心的といっても少し唐突に感じた。その後のある意味雑なぐらいの死体の処理についてはなんとなくらしい気はするんだけど・・・。
 そこから奇跡的な生還を果たすディカプリオだけれども、そこから復讐相手に追いつくまでのシーンでは、その復讐心が物語として見えてこない。(伏線はあるし、ディカプリオの演技は素晴らしいと思うが)
 なのでクライマックスのラストシーンが意外なほどに淡白な感じがするし、ラストのある意味この作品を象徴をするようなシーンも、観念だけでが先行して観客に伝わってくるものが弱い感じがした。

 映画というより映像を楽しみ作品という印象。その部分が楽しめる人にとっては傑作だと思うんだけれど、どうだろう。