「腕貫探偵 市民サーヴィス課主張所事件簿」(☆3.0)



まずはあらすじ。

腕貫をはめた地味なその役人は櫃洗市市民サーヴィス課臨時出張所一般苦情係の窓口担当。
この出張所、実は神出鬼没で、大学構内や病院の待合室、警察署内など、あちこちに出現する。
マネキン人形のように無表情な男は丸いフレームの銀縁メガネ、白いシャツ、黒っぽいネクタイ、無造作に切り揃えられた脂っけのない髪という素っ気ない、いかにも小役人なのだが、その窓口へと、トラブルを抱えた相談者はふらふらと引き寄せられる。
殺人? 詐欺? 行方不明? さまざまな悩みを、聞くだけで見事に解決してしまうのがこの腕貫男なのだ。 
明晰な推理力をもつユニークな安楽椅子探偵が活躍する、ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集。
yahoo紹介より

先日べるさんのところで、このシリーズの第2弾の記事をチラ見。
そもそもこの探偵を知らなかったので、相変わらず西澤さん読んでないな~、とちょっと反省し、第1弾から手に取る。

しっかし、なんだこの名前^^;;
ほとんど(全部?)の登場人物の名前の漢字がとにかく読めん!!麻耶さんなんか目じゃないぞ。
初登場時のルビも、数ページ読んだら忘れてしまい、また1ページ目へ・・・。
これを何度繰り返したことか・・・。

ムムム・・・なんだろう。。
さくさく読める、読んでる最中は結構楽しんでる。
でも面白かったかといわれると、なんだかビミョー。

ミステリとしては伏線(ゆるい気もするけど)と、腕貫氏の直感的(発想の内容はともかく、想像力は飛躍してる気)な推理がオーソドックスなミステリとして成立してますな。
なんとも正体のつかめない腕貫氏のキャラクターもいろいろな意味でたってるし。いまどきこんな人はあまり見ないよな~って思いつつも、非常にイメージしやすいのは遺伝子にすりこまれてるからか?(表紙のせい?)
しかしこの腕貫氏、探偵ではありませぬ。あくまで苦情がかり。
問題点や疑問点を指摘してはしても、最後は相談者に放り投げてきます。
なんだかこのへんも微妙なお役所仕事っぽくて、キャラにあってますよね。
こ~いうキャラ、嫌いじゃないっすね~

だけど、そのぶん他の登場人物が薄いのかなぁ。
短編集だし、そんな濃いものを・・・っていう内容だししょうがないんですけどね。
ただ、せっかく登場人物がリンクしてたりするから、なんかもうすこし期待しちゃった部分もあったんですけどね。
そのへんはあんまたいしたことなくて、1話目と2話目の男女がどうなるのかと思ってたのですが、女性の事件がディープだしねぇ^^;;
コレは多分、ストーリーのつくりがシンプル過ぎて好みじゃないんだろうな~と思ったり。
ほんわかと匂ってくるユーモアの香りは嫌いじゃないんですけどね。

個人的な好みをいえば「恋よりほかに死するものなし」なのかなぁ。
発想の飛躍も物語の展開の仕方、真相まで一番ムリのない感じがするし、後味のビミョーな悪さもいい味付けだと思います。
後味の悪さといえば、「喪失の扉」も負けてませんでしたね。最初はちっちゃい謎物語だと思ってたら、どんどんダーク方向に転がって、最後はまったく救いがないというか。
逆に「すべてひとりで死ぬ女」では、最後に語られる動機が飛躍しすぎてねぇ・・・。まあ、あくまで想像として語られる内容だから少々ヘンでもいいんだけど、これだけはベタになりきれてないといいますか。

結局一番ヒットしたのは、「化かし合い、愛し合い」の最後で語られる、生きているのを後悔するような想像を絶する浮気に対する復讐劇でしょうか。
この中身が気になる気になる。まさか収○祭のような・・・・・。



採点  ☆3.0