『人形幻戯~神麻嗣子の超能力事件簿~』(☆3.8)



まずはあらすじ。

巨大シャンデリアの落下事件は、"意図した超能力"による犯行か、あるいは"意図せぬ超能力"によるものか?
極めて情緒的な動機を、精妙な論理で解き明かす表題作ほか、いつものメンバーに、神麻嗣子の属する「超能力者問題秘密対策委員会」の"上司"神余響子も加わって美女たちの推理が冴えまくる。

yahoo紹介より

シリーズ第6弾。
神麻さ~~~~~~・・・・・・ん?

表紙は可愛い、相変わらずの神麻さん。和服魔女バージョン。
けれど、各短編のイラストの扉が・・・・なぜタッチが変わったの???
残念じゃ。
でも短編集のジャンルとしても、それぞれ違う主人公の視点で描かれて絡みも少ないから、意外とその辺に原因があるのか。
しかし、神麻さん萌えとしては残念なことに、登場や萌えシーンが少なくなることで、作品としての質はシリーズの短編集の中では一番高くなったような^^;;

相変わらず心理的に引っかかるところ(「不測の死体」の犯人のとった手段とかだったり、)あるんですけど、逆にそれを逆手にとって、超能力の使い道がわかるのに動機の後味の悪さがみえる『墜落する思慕』だったり、とにかく動機がまったくみえない『彼女が輪廻を止める理由』だったりと、その引っ掛かりをとりあえず納得のレベルまで持ってきてるストーリーの組み立て方は、コレまでの作品よりもっと気を使われてるような。
この辺なんかの作品はシリーズキャラの濃さが控えめな分、作品の質に気を配りやすかったのか。
中には表題作の登場人物のように、「これじゃあ保科と一緒じゃん」という人もおりましたが。
でも逆にこの表題作なぞは超能力小説を逆手に取ったホラー的(「世にも奇妙な」的?)要素が印象に残りました。最初はふ~ん、だったのに終わってみればおお!!みたいな。

でも一番好きだったのは「おもいでの行方」だったかも。
これこそ表題作よりもっと「世にも奇妙な~」的なのかもしれませんね~。なぜ犯人(?)は彼女の記憶をたった2時間だけ消したのか。
超能力の設定を積み重ねて整合のとれたトリックで事件の謎が解き明かされ、どこかほろ苦い締めくくりかと思ったら、さらにもっと苦い結末が・・・。
ロジックとストーリーの流れ、さらに超能力の使われ方のバランスという意味ではシリーズ中でも上位じゃないかと思うのですがどうでしょう。
最後の段落の登場人物の心理描写に、神麻さんのキャラクターが味わいを加えております(萌えとは違う意味で)。

いろいろな意味で前作の短編集と対照的な作品となってるといえるかもしれません。
シリーズキャラクターの使い方、シリーズ全体の伏線の張り方。
どれくらい西澤さんの頭の中で出来てるのかわかりませんが、とりあえず一度シリーズを完結させて、そのあとにそれまでのエピソードを書いていったほうがいいんじゃないかと。とにかくテーマとキャラクターがどんどん乖離していって、アンバランスなシリーズになってきてる気がします。
もう、新キャラクターの阿呆梨稀の据わりが悪いのがねぇ^^;;;;




採点  ☆3.8