『有頂天家族』(☆4.5)



まずはあらすじ。

糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父・総一郎はある日、鍋にされ、あっけなくこの世を去ってしまった。遺されたのは母と頼りない四兄弟。
長兄・矢一郎は生真面目だが土壇場に弱く、次兄・矢二郎は蛙になって井戸暮らし。三男・矢三郎は面白主義がいきすぎて周囲を困らせ、末弟・矢四郎は化けてもつい尻尾を出す未熟者。
この四兄弟が一族の誇りを取り戻すべく、ある時は「腐れ大学生」ある時は「虎」に化けて京都の街を駆け回るも、そこにはいつも邪魔者が!かねてより犬猿の仲の狸、宿敵・夷川家の阿呆兄弟・金閣&銀閣、人間に恋をして能力を奪われ落ちぶれた天狗・赤玉先生、天狗を袖にし空を自在に飛び回る美女・弁天―。
狸と天狗と人間が入り乱れて巻き起こす三つ巴の化かし合いが今日も始まった。

yahoo紹介より

面白きことは良きことなり。
それがこの小説のすべて。
どいつもこいつも、阿呆で魅力的だ。
底抜けに奇想天外なファンタジー、荒唐無稽の魅力がこの小説には詰まってる。
モリミさんはこれが3作目だけれども、どれもこれもおもしろいぜ。こんちくしょ~。

真面目すぎる矢一郎も
化け方を忘れた矢二郎も
オモシロキ事を愛する矢三郎も
携帯電話を充電できるも矢四郎も
タカラヅカな母上も
そして伝説の狸である総一郎も
みんなみんなステキな狸達だ。
ち~とはしがらみに悩まされても、かっこたる自分をもって生きてる気がする。
普通の人間だったらうそ臭いやつらかもしんない。
でも狸なんだ。どこか許せる。

一番好きなのは矢二郎かもしんない。
端からみりゃ化け方を忘れ蛙のまま過ごしてる、阿呆で引きこもりなダメ狸。
でも、彼は彼なりに考えてこもってる。
終わってみれば、かれの抱えてるものが一番複雑で、とっても重かった。
そんな矢二郎の想いが爆発したクライマックス(?)の暴走嵐山電鉄。
吹き飛ばされた人間や壊された建物は気の毒だけれでも、痛快痛快♪♪
わっちもこれぐらいかっこよくありたいでやんす。

下鴨一家だけじゃない。
ライバルの夷川一家もいいねぇ。
姿を見せない海星も気になるが、やっぱり金閣銀閣
四文字熟語のセンスと間違え方がいいねぇ。
後半の方の合ってるような、でも間違ってるあたりなんかにくいにくい。
人間なんだけど最強の弁天、過去の栄光に縋る姿が情けないないのに愛らしい赤玉先生。
ああ、やっぱりどういつもこいつもステキだ。

電気ブランは苦手だったけど(リアル)、偽電気ブランは十分酔わせてもらいました。
第2弾が待ち遠しい。




採点  ☆4.5