『探偵小説のためのエチュード「水剋火」』(☆1.5)



まずはあらすじ。

私は人殺しだから―。過去の過ちのため帝都から逃げるように転校した水里あかね。彼女を待っていたのは、南国・実予の陽光と、謎めいた美少女・小諸るいかだった。周囲の温かい歓迎に心癒されたかに見えたあかねの目の前で、不可解な爆発&転落事故が。超絶推理で犯人を解明し、陰陽の力で事件に潜む怨霊の姿を暴き出す小諸。
論理と因果と美を兼ね備えた最強の陰陽師探偵登場。

yahoo紹介より

ふと本屋へ行くと、なんだかライト系の表紙が目に付いた。
作者は・・・古野まほろ・・・・

うげら!!

「天帝」三部作で鮮烈にデビューし、せ~りょ~いん以来の論議を巻き起こした(?)まほろが帰ってきてしまった。
三部作の最後を強烈なヒキで終わらせただけに次は違う作品になるのだろうなと思ったら予想通り。
セーラー服と陰陽師らしい表紙に「新時代の青春ミステリ」と書かれた帯の煽り、「おお、今度はもう少しスラスラと読めそうな文章になってる気がするぞ!?」と思い、それだけで即購入。
こんな自分、かなり自虐的、はふぅ

家に帰り、初めて裏表紙の粗筋をちゃんと読む・・・

帝都????

ま、まさか・・・・
ぐはっ、「天帝」とリンクしてるよ~~~~~。
しかも、まほろ語健在じゃ!!(ルビはほとんどないけれど)
やっちまったぜ俺。
そしてここまで期待通りに予想を裏切るか、怪物パンダ(←読んだ人しかわからん喩え)

しっかし、これ・・・肌に合わね~と、ほんと読むのが地獄ぢゃ。
新時代の青春ミステリとはプチ百合世界のことなのか・・・っていうぐらい変な世界観炸裂。
特にあかねの自虐妄想っぷりがすごすぎです。
全部で250ページの作品のうち少なく見積もっても4分の1が彼女の妄想だもんな~。
しかも本編とあまり関係なし、たんにまほろが書きたかっただけか?
貧乳をつっこまれると、突然先祖返り(江戸っ子の魚屋か?)を起こすし、記憶残ってないし。
しかもこの設定、特に生かされることなし。

探偵役たる陰陽師・こもぷ~もきてるしなあ^^;;
なにしろ肩書きが「陰陽宗家小諸家頭首小諸左京大夫陰陽頭、兼務陰陽博士、兼務天文博士、兼務歴博士、兼務蔵人所陰陽師大宰府権帥勲四等従四位上、子爵橘るいか朝臣であり、宮内省陰陽庁長官、式部長官、宮中顧問官」であり、「勅任警察官、勅任警察員警視監なのだ。
ちなみに高校2年生。
気づくひとは気づくが、大宰府権帥はかの菅原道真の最後の役職(詳しくは「QED]を)、こもぷ~はその怨霊から役職を譲られたそうな。
うげらぼぁ。。。。
言動もむちゃくちゃだし、意外と頼りない・・・。

ま、結局キャラ設定はまほろ流萌え系・・・っていいのかな^^;;
とにかくついていけない人にはついていけないってやつで・・・・。

ここまで書いて、とにかくボロボロに言ってしまいました。
いや、実際これだけだったら☆1つ台以下は間違いなかったんですけどね。
純粋のミステリの部分だけ抽出したら(全体の1/3~1/2ぐらいの分量?)、しごくまっとうなんですよね。
これは「天帝」シリーズもうそうなんですけどね~。
過剰な文章に隠れているけれど、まっとうな論理のもとに犯人を指摘できるんですよ(多分)。
惜しむらくは文章が過剰すぎて、読む片っ端から忘れてしまうことだけ?
デビュー作でもあったヘンテコなラストも健在(あれよりはスケールダウンしてるけど、伏線がある分まだまともか・・・)。

ううむどこまでいってもまほろまほろ、ここまで読むのに時間がかかるとは思いませんでした、はふぅ。

でも一番サプライズは読了後・・・・

「天帝」シリーズ、続くんかぃ!!






採点  ☆1.5