ゆきあやマニア賞品『風が強く吹いている』(マタタビ5個)  著者:三浦しをん

先月行われた『ゆきあやマニアクイズ』で、なんと1位を獲得したわたくしたいりょう。
先日、優勝賞品のかつおぶし1年分と花束、そして副賞の本が届きました。
本の内容については、「到着してからのお楽しみ」ということだったのですが、ほほう、三浦しをんですか。




まずはあらすじ。

箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。
奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。
長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。
最強の直木賞受賞第一作。

著者渾身の最新長編小説
yahoo紹介より


三浦しをんも初めて、そのうえこの本についてもまったく予備知識が無かったのですが、メッセージに
「新しい門出にピッタリの本をご用意しました。」
ということなので、ワクワクしながら拝読させていただきました。。。。


ふご~~~~~~~~~~~~~~~~~(T_T)
ゆきあやさん、また泣いてしまったではないですか~~~~(T_T)
わたし、こういうのめっちゃ弱いっすわ^^;;
だいたい箱根駅伝自体が大好物。ちょうど私が入学したぐらいに母校が初出場、今年久しぶり(多分)にシード権を確保したわけですが、やっぱりテレビ見ながら応援してしまいました。
もちろん勝負の行方自体も面白いのですが、それだけではなく各大学やランナーの数々のドラマが観客の心を打つ正月の風物詩。
その熱き魂が見事に再現されてます。
佐藤多佳子さんの短距離物の傑作『一瞬の風になれ』と並んで、陸上物の傑作なんじゃないでしょうか。

いってしまえば荒唐無稽の物語。
現実を考えれば、陸上経験者のほとんどいない陸上部が、しかもたった10人しかいないのに箱根駅伝に出場できるなんてことはまずないでしょう。
それでも、彼らを応援してしまうのは、彼らがそれぞれの思いを駅伝に託し、ただひたすらに駆け抜ける姿があるからじゃないでしょうか。
だから、読んでいて彼らの息遣いを感じ、思いを感じ、実際に箱根路を駆け抜ける彼らの姿をまぶたの裏に感じることができる。

『一瞬の~』のリレーと同じく、駅伝もまた1本の襷を繋げていく物語。
ひとつひとつの力は劣れども、10人のランナーの、彼らを取り巻く人達の思いが一つになれば、そこにはほんとうの「強さ」が生まれてくる。
ジャンルは違えども、私自身もかつてお芝居や自主映画をやっていた時に、この「強さ」を何度も感じたことがある気がする。
スクリーンに映る、あるいは舞台上に立つ役者さんだけではなく、そこに関わる多くの裏方さんたちの想いが一つになったときに、ほんとうにいいモノができると感じた。
もちろん、それは傑作でもなんでもなく凡庸な作品かもしれない。それでも、そこに関わった時間が、かけがえのないものだったと振り返ることができる。
本当の宝物はその気持ちなんだと思う。

寛政大学の10人のランナー達も、レースとしての頂点はつかめないかもしれないが、それぞれの今の時間において、最高の頂点を掴めたのではないか。
そしてその頂点は、彼らのこれからにおいて大切な時間であるとともに、これからの時間にとっても大切に思い出になり、支えになっていくんだと思う。
ただ記録の「速さ」を目指すのではなく、自分自身の思い、様々な人達の思いを受け止めて、それでも駆け抜けることのできる「強さ」。
それが本当に大切なんだな、と感じさせてくれる、三浦さんの素晴らしい文章。

登場人物としてはやはり灰二と走の関係が素敵だった。
お互いに陸上を愛しつつも、心に、あるいは体に傷を持つ二人。
そんな二人が出会えたからこそ、寛政大学の物語は走り出したし、そしてお互いの存在を理解することによって、二人が次の1歩を踏み出せたんだと思う。
それは彼らだけではなく、竹青荘に住む他のランナーも同じだと思う。
彼らの誰か一人が欠けたとしても、このドラマは成しえなかったと思える。それだけ、みんな素敵なんだ。
個人的なお気に入りは、第1区を走った王子。
2枚目なのにこよなく漫画を愛し二次元の世界を愛す男。もちろん運動なんて大の苦手。
そんな彼が箱根を走ることによってすごく格好良くなる。

レース前の会話
灰二「王子、今日まで無理につきあわせてすまなかった」
王子「ハイジさん、僕はそんな言葉が聞きたいんじゃないよ」

そしてレース中に、あれだけ嫌いだった陸上を好きになってる自分に気づく。
そんな彼が1区を走りぬけたとき、灰二は彼に言う。

灰二「ここまで一緒に来てくれて、ありがとう」
王子「合格」

ふごふご~~~~~~~~~~~~~~~~(T_T)
ええのう、青春ってええのう(T_T)

齢31、男たいりょう。
これからあらたなスタートを切るにあたり、彼らのように強くまっすぐになりたいものです。

ゆきあやさん、最高に素敵な本のプレゼント、ありがとうございました^^


採点  マタタビ5個