『夜明けの街で』(☆2.0)   著者:東野圭吾



まずはあらすじ。

15年前の殺人事件。
まもなく時効を迎える。
僕はその容疑者と不倫の恋に堕ちた――。

渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。
その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。
しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。
殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。
犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。
果たして秋葉は罪を犯したのか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた…。
緊迫のカウントダウン。衝撃のラストシーン。

著者渾身の最新長編小説
yahoo紹介より

やっとこさ予約してた本が回ってきました。
そこまで熱心ではないにしろ、東野さん好きとしてはワクワクして手にとったのですが・・・

ううむ^^;;;;;;;
これはどうなんだ???

内容をまったく知らずに読み始めて、延々と続く不倫ストーリーに辟易する。。
とにかくありふれた箱書きの元、ストーリーを作っちゃいました的な平板な人間関係。
東野さんの文章だから読めるものの、正直ダラダラしたまま最後までいってしまいました。

とにかく、心理描写の描き方が中途半端というか・・・。
主人公の渡部の身勝手さはある意味リアルといえるのかもしれませんけど、そこまで引っ張っていって結局それかい・・・。
ラストのあとには壮絶な修羅場が待っているのか。それも自業自得ですがな。
不倫というテーマはどうしてもアンチモラルなので、二人の関係に説得力or恋愛のリアリティがないと入り込めないと思うのですけれど、とにかく秋葉がまったく魅力的でないのがイタい。
人気のある社内の秋葉と、バッティングセンターで出会う秋葉のギャップに魅力を生み出そうとしたのかもしれませんが、結局このバッティングセンターや、そのあとのカラオケの場面の彼女の言動など、それがどう作品につながっていったかというとよくわからん・・。
どうして渡部と不倫したのか・・・という部分に関しても、トントン拍子に行き過ぎて、感情移入できませんがな。
結局最後まで秋葉が何を考えてるのかよくわからん。
女性の描写では別の意味で定評のある東野さんらしいといえばらしいのかもしれませんが(笑)

わからんといえば秋葉の父親なんかも、思わせぶりに登場したわりにはねえ^^;;
とにかく、なぜこの二人が不倫してしまったかというのがま~ったく理解できないだけに、さっさと奥さんにバレテしまえとしか思えん。
冒頭の

不倫するやつなんて馬鹿だと思っていた。
ところが僕は、その台詞を自分に対して発しなければならなくなる。
ただし、その言葉の後に、こう続ける。
でも、どうしようもない時もある。

も、言いたいことはわかるけど、「どうしようもない」と思えないだけに、ギャグにしかなりませんがな^^;;
結局一番凄かったのが、奥さんということでしょう。
いやあ、ラストの卵のサンタさんといったら・・・ねえ^^;;
これを読んだら、不倫なんてとてもとても(笑)。

ミステリ的要素も入っているのだけれども、これがまた弱い。
どうみても、二人の関係の行く末を決めるために、事件を作りました的なプロットの脆弱さを感じてしまいました。
こんなオチ、警察も想像できるだろうと思うのですけれど^^;;

東野さんは、

「恋愛感情をここまで中心に持ってくる小説を書いたのは初めてでした。単行本化に向けた手直しをしている時に、こんな難しいことをよくやったな、と思いました。明らかに今までにやったことがないことをやったんで、『ちょっといつもと違うな、でも悪くないな』と思ってもらえたらいいな、と思います。」

と語っておりますが、「いつもと同じ、でもいつもより悪い」としか思えなかった。。。
東野さんの中では限りなくワーストかなあ、これ。。。。
併録の「番外編 新谷君の話」も読む気力がわかず、斜め読みしてしまいました^^;;;


採点  ☆2.0