『少年名探偵虹北恭助のハイスクール☆アドベンチャー』(☆3.9)


まずはあらすじ。

あの少年名探偵・虹北恭助がまたまた帰ってきた!恋のライバル(?)から出された推理問題。
ミステリ研究会に残された暗号。
姿が見えないストーカー。
突然、人が消える城。
そして怪盗Xからの犯行予告。
次々起きる謎に美少女高校生・野村響子をワトソン役に、虹北恭助の推理が冴える!
はやみねかおるのミステリ魂がいっぱいの一冊。

amazonより

少年名探偵虹北恭助シリーズもいよいよラスト(正確にはスピンオフ作品が一つ残ってるらしいですが)。
初登場は小学生の年齢だった恭助と響子も高校生。
外国で知り合った、謎のフランス人を従えて今日も行く行く虹北恭助。
さすがにここまでくると、いろいろと人生経験をつんだのか、恭助も少しもまともになっているのか?

作品全体を彩る恭助と響子の微妙な距離感がファンにはたまらんな~。
居候フランス人の煽りのおかげか、恋のライバルが登場した(お互いに)せいなのか、今までになく積極的な二人が青春してまんな~(笑)。
特に居候が「恭助も響子の気持ちは分かってるのでしょ」というあたりは、くぅ~~~♪

登場人物のドラマがより出てきた効果か、やもすると味気なかった推理部分にも切れ味とお遊び的余裕が。
このシリーズ、というよりはやみね作品はトリックでみせるというよりも、その部分とストーリー部分のバランス感覚が一番の売りだと思っているので、シリーズ最終作ながらそういった部分がでてきてよかったと思います。
おかげで久しぶりにちゃんと恭助が主役(それ以外はカメラ屋「大怪獣」の若旦那が主役でしょう!!)になってくれた気がするし、最初に比べたら恭助にだいぶ共感できる気がする(笑)。
たとえば、消えたストーカー事件の犯人との対決での恭助の熱さなんかは小学生の頃には考えられなかったんじゃないかな~。
これは恭助の周りにいる人たちが素敵だったからなのかな。響子ちゃんだけじゃなく、映画マニア3人衆、「FADE IN」のみんな、今回登場するライバル達。。。
人は自分の力だけで成長するのではなく、いろいろな人とであって成長するんだという、はやみねさんのメッセージが含まれてるような気がしますね。

そして最終話。
再び恭助がいなくなるのでは?
そんな噂とともに舞い降りた事件の中で、恭助と響子の距離が再び微妙に。
二人の関係にやきもきする野次馬達が出した答え、それを受けた恭助の行動。。。
も~のすごく王道な展開ながら、心暖まります。
意外な展開だけが面白い小説じゃない、読者が望んでる展開を感じてそれに応えるのもまた面白い小説。
そして作風に後者の持ち味をたっぷりもたせるはやみね作品に相応しいラストに、私もおもわず顔がニヤリ♪

いよいよシリーズもこれで終わり。
始まったときは恭助の大人びた割り切りに違和感を覚えたものですが、こうして終わってみるとやっぱり寂しい気もしますね。
正直、ミステリー作品という印象なのは第1作とこれだけ、キャラ達もいつのまにか成長してしまったという感じがしないでもないです。
でも振り返ると魅力的な登場人物がたくさんいた本だと思うし、特に若旦那達にはぜひ再登場して欲しいな~^^



採点  3.9