『殺人喜劇の13人』(☆3.0)


まずはあらすじ。

古びたアパート「泥濘荘」へ転がり込んだミニ・コミ誌仲間の13人。
格好の根城を得た喜びもつかの間、縛り首や毒死、密室とあらゆるやり方で、一人また一人と殺されてゆく―。
残った仲間の誰が犯人なのか。友人たちを救おうとする名探偵・森江春策の推理は?
第一回鮎川哲也賞を受賞した本格長編推理。

amazonより

実に久しぶりに芦辺拓
最後に読んだ『明智小五郎対金田一耕助 名探偵博覧会II』(☆2.8)が3月なので実に半年以上ぶり。
そしてこの本、実は初めて読もうとした芦辺作品にして挫折本、まさに○年ぶりの再挑戦でございます。
で、感想はというと

うが~、駄目だ~、この人の文章肌にあわね~^^;;

という、前回の本と同様の感想です(笑)。
これが実質的なデビュー作。私が読んだのは、文庫版だったのですが、殆ど手は入れてないみたい。
まあデビュー作だから青臭さがあるのもしょうがない。
むしろ、作中からビシバシ伝わってくる本格への深い思い入れ、濃厚すぎるぐらい濃厚な展開を評価すべきなのか。
とにかくこれでもか、これでもかというぐらいのトリックとロジックの連発。
終わってみれば非常に練り上げられてる物語であることに気づく。

それでも過剰なる情熱が生み出した弊害ともいうべき小説としての煩雑さがやっぱり鼻につく。
一番気になったのが、とにかく登場人物の区別がつきにくい。
表題から察することができるように、結構登場人物が多い。それだけにこれだけ個性が伝わってこないと、正直それだけでホンマに頭が混乱。

あと、動機の部分も正直弱い。そこまでするかとどうしてもつっこんでしまう。(なぜ殺されなければならないのか納得しがたい人もいたりして)
まあ、リアルな大学生という意味で描くと案外これぐらい似たもの同士になってしまうのが普通なのかもしれんが、それにしても。。。

ロジックとトリックを愛すなら高評価。
小説としてのウエイトをある程度重視するなら少々きつい。
そしてなにより読み通してみると、「もしかして芦辺さん、文章力がむかしと一緒?」と思ってしまったのは内緒の話だ。。。

だれかこれを読んだ人、感想をお聞かせください。。。


採点  3.0