『赤い夢の迷宮』(☆3.0)   著者:勇嶺薫


小学生だったあの頃、仲良し7人組のぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろいことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如OGに招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった 


yahoo紹介より

お久しぶりです。
現場実習で死んでます。
12時間勤務は地獄です。。。

あのトホミスと同じときに発売(でしたよね?)、大人版はやみねかおる・・・もとい、勇嶺薫
はやみねさんのジュブナイルは何冊か読んでるが、どれも当たりに近かった。
これはまあ、冴さん&お嬢さんのオススメにしたがったからというのもあるでしょう^^
ただどうしてもこれを買うには気が引けてしまった。
理由は不明だが、もしかしたら冒頭の宇山さんに捧げる言葉に、あの「はしたない」作品と同じ不安を感じてしまったからか?(あっ、石を投げるのはやめて!!!!)

で、読了。不安は半分杞憂で半分当たったという感じ。

杞憂だった部分。

筋立ての分かりやすさ。
煽りのテンポの良さ。
文章の読みやすさ。

大人向けとはいってもはやみねかおる、非常にとっつきやすい。
下手にいじったりせず、自分の作風を維持したまま書かれているのはいいと思うし、こういう大人向けはありだと思う。
また分かりやすい筋立ては大人向けに挑戦したい子供の最初の1冊としてはいいのかもしれない。


的中した部分。

トリックがあまりにも・・・な出来具合。
ミステリとしてはシンプルな構造なだけに読み応えとして物足りない。
読者対象が曖昧になっている気がする。


以下ネタバレまではいかないと思いますがギリギリですので、お気をつけを。















トリックはどこかで見たようなものが多い。
さらには物語の構造的にもあまりにヒントをばら撒きすぎているので、意外性がほとんどなかった。
また事件の真犯人に関しても、はっきりいってすぐわかってしまう。
これに関してはゲーム的な物語構造からいっても、確信犯的なところはあると思う。
逆に言えば、確信犯的な分かりやすさを持つからには。物語の厚みがもっと無ければ大人向けとは言い難い出来になっている。
なんとなくだけれども、子供向け戦隊ヒーロー物のような軽さを感じてしまった。(戦隊物をバカにしてるわけではない)。
ラストの部分、なんとも言えない終わり方をしているがこれがいい余韻には結びつかないと感じもした。


トータルの感想としては、よも&ゆきあやさん系というよりも、冴さんの感想に近いと思う。
はやみねさんの大人向けものはもっと読んでみたいと思う。
ただペンネームを漢字にするのではあれば、もっと内容を濃厚にしてもいいのではないだろうか。
今のままでは、勇嶺薫の魅力ははやみねかおるの魅力に及ばない。

ということで今回は☆3.0にさせていただきます。
おっと、『天帝』第2作より低くなったぞ^^;;;


採点  3.0