『刀語 第3話』(☆3.7)



無刀の剣士・鑢七花と野心を秘めた奇策士・とがめは、出雲の国は三途神社へ辿り着く!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた"刀"は十二本―残るは十本!"
千本で一本"なる千刀・鍛(つるぎ)の秘密とは!?
刀語、第三話の対戦相手は、三途神社を束ねる敦賀迷彩。

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前作を読み終わってから約1ヶ月。やっと第3話の順番が回ってきました。

今回の刀は千本で1本なる刀。
実は四季崎記紀の刀は全部で1000本。そのうち988本が習作といわれ、残り12本が完成形。
なのにその998本より多い数の1本の刀が存在するというムチャな振り^^;;
ただまったく同じ刀が千本もあるという事がいかに驚異的かということ、そしてその千本を使った戦い方の理に適った手段もあり、物語的にはさほど違和感はないのかな。
今回の敵敦賀迷彩も個性がなさそうで、それなりに深いのも西尾氏らしいのか。

そしてここまで単純痛快時代劇調だった物語にも少しづつ裏の物語が見えてきます。
だれよりも異色な動機ゆえに四季崎記紀の完成刀を所有しようとする敦賀迷彩。彼女の考え方は善か悪か。
それ自体の問いかけと、まったく考えない主人公鑢七花との対比によりどこか作品の主題的な部分が浮かび上がってきますね。
そのある意味葛藤と矛盾を含む展開において、七花よりも奇策士・とがめがどういうスタンスで進み続けるのかという方がこれから重要になってくるのかもしれません。
そして自らをとがめの刀と任ずる七花は果たして自らの考えで道を進んでいくことになるのか。

形式としてはそれまでの構成を踏襲する1パターン調ながら、最初の転換点を迎えつつあるのか。
とりあえず次回の相手が、第1話から名前が登場する天才剣士錆白兵なので、それと合わせて考えるべきか。
シリーズ全体を読み通してみないと最終的な評価が下せないな~と思いつつも、さらっと読めるという意味では前回と同じぐらいかな。


採点  3.7