『酸素は鏡に映らない』 著者:上遠野浩平



「それはどこにでもある、ありふれた酸素のようなものだ。もしも、それを踏みにじることを恐れなければ、君もまた世界の支配者になれる―」
ひとけのない公園で、奇妙な男オキシジェンが少年に語るとき、その裏に隠されているのはなんでしょうか?
宝物の金貨のありか?未来への鍵?それともなにもかもを台無しにしてしまう禁断の、邪悪な扉でしょうか?
ちょっと寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が巡り会い"ゴーシュ"の秘宝を探し求めて不思議な冒険をする、これは鏡に映った姿のように、あるけれどもなくて、ないけれどもある、どうでもいいけど大切ななにかについての物語です―
あなたは、鏡をどういう風に見ていますか。

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まずはお約束の告白を。
上遠野浩平さんの名前を、「かみとおの・こうへい」と呼んでおりました。
間違い(かみとおの→かどの)を知ったのは、上遠野さんの『殺竜事件』のlべるさんの記事で、同じ告白を見たとき。
気づくの遅すぎですな、すいません。

で、結論から先に言うと、よ~わかりませんでした^^;;
いや、最初に目次を見たときに飛び込んできた「オキシジェン・デストロイヤー」という単語(初代「ゴジラ」を倒す為に作られた化学兵器と同じ名前)や、第1章の前に挿入された、平成版「ガメラ2~レギオン襲来~」からの引用など、私の心をくすぐりまくりだった分、全然違う方向へ物語が進んでいった事へのガッカリ感があったのかもしれませんが。

基本は寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が伝説の金貨を探す物語と、公園で交わした弟とオキシジェンの会話の同時進行な訳、さらにはヒーロー崩れの男が主演した特撮ヒーロードラマの粗筋が組み込まれ・・・といった訳ですが、どうにもこうにも収まりが悪い。
率直にいってしまえば、相乗効果が感じられず、物語にのっていけない。
全体的にユルユルなのだ。
まあ、その辺は作者自身が書きたいものを書かせて頂きましたと言ってしまってるので、突っ込む気もなくすのだが^^;;

それにしても最後の50ページぐらいは、予想外というか理解不能というか?な展開でしたな~。
物語の途中(しかも早い段階)で、彼が○○になるのかな~と思ってたのですが、まさかそこに先輩が登場するとは。
おいおい、そこまでの思わせぶりな展開はなんやねん!!
まあね、それまでも文中に散りばめられた物語の隠喩的予告文がすべて外しまくってるから、あれなんだけど・・・
さらには、ラストの弟がたどり着いた世界(?)は一体・・・。

金貨の隠し場所の設定は、ルパン三世っぽくて面白くなくはないと思うんだけど、もうその頃にはとりあえず最後まで読むか程度のテンションしか残ってませんでした(笑)。
ミステリーランドの中でも意図や対象年齢がよ~わからんという意味では上位クラスの作品かもしれません。

で、読書後に知ったこと。
どうもオキシジェンやラストに登場した姉の先輩なんかはどうも上遠野さんの他の作品に出てきてる人物みたいですな。
というか世界観そのものも他の作品を読んでないと分かりづらいものらしい。。。

おいおい、企画としてのコンセプトがある叢書で、リンクを知らないと理解できない作品をしないでくれ~!!!



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