『大怪樹 新宿少年探偵団』(☆3.8)



「これは自分と世界との戦いなのだ」。イカロスと名乗る若者は、マッド・サイエンティストの力を借り、新宿の街を覆い尽くさんばかりの巨木―ユグドラシルを生んだ。
人を殺し栄養分とするユグドラシルを、現代科学の黄昏と世界再生の象徴とする彼らに"宿少"のメンバーはどう対峙する!?
シリーズ風雲急、絶頂へ。

yahooブックス紹介より

新宿少年探偵団シリーズも、いよいよクライマックスに向かって大加速です。
これまで張られていた伏線が一気に表面化、物語を動かしていきます。
これまでのレギュラーメンバーが揃って登場、パラダイム・シフトを巡り壮絶なる戦いを繰り広げます。
もはや凡人には、運命を背負った彼らの姿を見つめながら、物語の終焉、あるいは世界の終焉を見つめるしかありません。

今回のメインとなるのは、新宿中央公園に突如出現した謎の樹木。
これが人のエネルギーを吸い取りながらどんどん巨大化していくんですね。死体がミイラになってしまうなど、SFのお約束を踏まえつつも、実はそれすらも壮大なるサーガの1ピースに過ぎないのではないかとさえ思えてきます。

実際本作はシリーズ完結編となる『宙』とあわせて一つのストーリとなっているので、なかなか感想が難しいのですが、エンディングへの助走としては素晴らしい盛り上がりも見せていますし、最終局面への容易ならざる布石も端々に感じますね。

SFに疎い僕としては大変素晴らしいSFだと思うのですが、どうなんでしょう。
もうここまでくると読みとめる事は出来ません。
ただただ、彼らがどこに向かうのか、見つめるのみ。

採点  3.8