『島田荘司のミステリー教室』(☆4.0 テキストとして)



小説を読んで、自分も書いてみたくなったけど…、「プロットはどのように書けばよいか?」「トリックをどう考えればよいか?」といった疑問に数多くの名作を書き、また多くの若手作家のデビューを後押ししてきた本格ミステリー界の巨匠・島田荘司が答える。また、書くだけでなく、探偵小説・本格ミステリーの発生から変遷について語り、読者にとっても本格ミステリーをより楽しむための知識を与える。

yahooブックス紹介より

「本格ミステリー・ワールド 2007」で島田氏に厳しい事を書きながら、それでもまたこんな本を読んでしまう。
やっぱりどこか御大が好きなんでしょうな~(笑)。

まず最初に断っておくとタイトル・あらすじに偽り無し。
問答無用のミステリ創作教本でございます。だから面白さを求めてはいけません。

質問も「原稿の書き方」や「かぎ括弧の使い方」といった小説の書き方のごく初歩的なものから、「トリックアイデアの創作」やミステリの成り立ちなどについてのディープなものまで多岐に渡ります。

時々、「文章は都市の構造に似ている」などの島田節が質問の枠を超えておおいに語られてしまうのはあれですが(笑)、その理論に賛同するかはともかくとしてなぜ御大がそういう結論に至ったのかは納得できます。
へんな言い方ですが、初歩的な質問や意味不明な質問(「これから作家を目指す方、私もそうですが、島田さんの作品を読むと自信が無くなるんですね」←もはや質問でもなんでもないです・笑。御大も返答に困って第一声が「え?」ですから^^;;)など、質問者がいろんな立場(あるいはレベル)の方がいる分、かなりわかり易く答える結果になってるんでしょうね。
質問者が座談会で募集した方、あるいはネットなどのQ&A形式というのもいい方向に働いたのかもしれません。
また最後の講演会採録についても、いろいろな方が聞きに訪れている前提という部分があるので、非常に噛み砕いた言い方になっていると思います。

小説を求める人、あるいは創作に興味の無い方は読む必要はなかろうと思いますが、これからミステリを書きたいと思う方にとっては非常に参考になるのではと思います。
もしくは近年の島田理論をどうしても読んでみたい方にもオススメです(笑)


採点  4.0(テキストとして)