『中原の虹』第2巻(☆4.0)



偉大なる母、西太后、死す。「この国は私が滅ぼす」。その悲壮な決意に、春児は、光緒帝は―。
圧倒的感動で描かれる、ひとつの歴史の終焉。
中国歴史巨編、佳境。

yahooブックス紹介より

中国歴史大河小説もいよいよ第2巻。
ついに西太后がこの世を去ります。

中国三大悪女として漢代の呂后、唐代の武則天とともに名前が挙げられる西太后ですが、この小説の中ではあえて悪女を演じたと書かれています。
蒼穹の昴』から始まった、清の存亡のみを考えるのではなく満洲人あるいは漢人による中華王国の継続を求め、ロシアあるいは日本による侵略を危惧した彼女の行動の悲劇性の集大成ともいえる場面が、第2巻のラストにおける、現皇帝光緒帝が崩御(物語では民族国家の維持の為に西太后と共謀し自殺)、「ラストエンペラー」溥儀を宣統帝として擁立(宮内派閥の何人たりとも影響を受けていない皇帝の擁立)、そして西太后自身の病死。

自らの手で国家を再建する事願わずと察した時、民族の蜂起を促す為に自らを悪鬼に仕立て上げそれに対する反発心を利用しようとした西太后の強き生き様には創作でありながら、史実のごとき共感を覚えた。

彼女の死後巻き起こる袁世凱張作霖の政権を巡る戦い。龍玉を持つ選ばれしものと、光緒帝の意思を伝えられた男。
さらに、唯一守るべき存在である西太后を失った李春雲と張作霖幕下の元行き続ける実弟李春雷との再会は果たされるのか。
そしてクーデター失敗後日本に去った梁文秀(モデルは梁啓超?)はその中でなんらかの役割を担うのか。

とにかく盛り上がる盛り上がる。
第3巻の発売はいつなのよ^^;;


採点  4.0



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