『Q.E.D.証明終了 26』 著者:加藤 元浩




まっとうなミステリー漫画にも関わらず、ブログ仲間の皆様のあいだでは冴さんぐらいしか語ってくれない「QED」シリーズ最新刊。
今回は2話収録。
最初の話「夏のタイムカプセル」は偶然掘り出されたヒロイン水原加奈のタイムカプセルを巡る青春のほろ苦い物語。
もう一つはレストランで起きた殺人事件を巡り、自供した犯人に共犯者はいるのか、それとも自供は嘘なのかを想が推理する。

後半の方は、最大の問題となる密室への出入りする方法の部分がページ数が足りないせいか、やや描写不足で物足りない。
また想がある人物の証言を指摘する場面(こういうのってミステリ漫画ではお約束ですな~)も、今回はちと強引というか発想が飛躍しすぎの気も。。。

それに対して「夏のタイムカプセル」は、ミステリというよりも物語として秀逸であると思う。
いきなりこの巻から読み始めたとすると、カプセルに入っていたサインボールとカセットの関係の部分においてあまりに飛躍してると感じられるかもしれませんが、ずっと読み続けたファンにとっては無条件に可奈を疑わない想との心理関係の上に成り立ってると感じました。
またまわりをはた迷惑なぐらい巻き込み(あるときは力づくで)ながら、一方で人のことを素直すぎるぐらいに心配できる可奈のキャラクターが話にさりげなく生きている。
なにより、最後の最後で想が可奈に語る言葉、これは第1巻の頃の想だったらぜったい出てこないと思うのだ。
今までの物語を通して可奈が想に与えた影響と時間を感じ取れて、ちょっとホロッときてしまった。
金田一少年~」のような派手さは無いものの、ミステリファンにはぜひ手にとってほしいシリーズだと思うのだがどうだろう。