『無法地帯 幻の?を捜せ!』(☆3.8)



怪獣大好きヤクザ、食玩コレクターの私立探偵、モラルゼロのオタク青年。幻の?を奪い合う、仁義なき戦い。勝者は誰だ!?
オタク道35年の著者がおくる、情熱の書き下ろしミステリー。

yahoo紹介より

図書館でその存在は知っていたのですが、蔵書の保管場所が地域公民館だった為手を出していなかったのです。
そこへ冴さんゆきあやさんのポルノ姉妹・・・じゃなくてポルノベイビィズ姉妹(冴さんから訂正入りました)が書評で誉めていらっしゃったので、取り寄せてもらいました。
まったく関係ないですが、粗筋は単行本版のあらすじ紹介。文庫版ではオタク道38年になっていたのにちょっと笑いました♪

いやあ、マニア道恐るべし。1歩間違えればどん引きの世界。熱い情熱が迸っております。
とはいってもさすが大倉作品、いろんなタイプのコレクターごとにきちんと境界線を引くことによって、それを通して描かれる人間模様がうま~く物語に反映されてますよね。
自らがオタク(と紹介に書いてあるからねえ)だけあって、それぞれのこだわりが面白い。

思えばこの世界、自分も決して縁が無い訳ではない。
小学生低学年の頃はきん肉マンのビニール人形、高学年になるとビックリマンチョコガムラツイストのシールを流行とともに集めてたし(今はどこにいったのやら)、高校時はレッド・ツエッペリンの海賊版集めに店から店を渡り歩いたものでした。
ちなみに今手元に残っているのはその海賊版ペプシコーラについてたペプシマンスターウォーズのボトルキャップフィギィアくらい。でもボトルキャップはちゃんと(?)コンプリートしてるんですよ。
でもこの小説を読む限りおそらくはフルコンプリートでは無いのが悔しかったり。
あ、どこがどう違うのかは小説を読んでみてください。

小説に話を戻します。
前半は幻のアイテムを巡る情報戦(?)。古風なヤクザと不気味な私立探偵という対照的な二人が繰り広げられる心理戦が熱い。
その理由が片や女の為、片やコレクターグッズの保管・警備代というのがバカらしくも妙に説得力あります。
そのくせ二人ともついついコレクター本領を発揮し寄り道しまくるし。
物語が進むにつれて、心理的駆け引きというよりもドンパチ合戦の連続。このバトルがかなり上手く描かれているにも関わらず、主人公達の行動規範の中にちゃんとコレクター愛がにじみ出てるのが何ともいい感じです。
ただ、ラストの方はもう入り乱れすぎて誰がどういう団体(?)やらよく分からんようになりましたが^^;;

推理ミステリ的な要素も含んでいるし物語の構成も予想以上に丁寧に積み上げられてるんですが、まあ細かい事を考えるよりちょっと不思議な世界で繰り広げられる冒険譚として素直に楽しめる小説だと思います。
それにしてもすごい表紙だなあ~^^;;;