『図書館内乱』(☆4.0) 著者:有川浩



本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメント第1位に輝いた『図書館戦争有川浩、最新刊!!図書館の明日はどっちだ!?やきもき度絶好調のシリーズ第二弾、ここに推参。

yahoo紹介より

昨日読み終わった『図書館戦争』に続いて、連続読破です。
前作の記事で、「1アイデア炸裂といった感じで続編が不安」という感想を書きましたが、ちょっと予想が外れました。
まさか図書館について深くなっていくよりも、月9のノリの方をパワーアップしてくるとは。。。

もう冒頭からホーム・ドラマ、そしてラブコメの連発。月9より日曜劇場の方が似合うと思うのは僕だけ?
ドラマ好きの僕としてはこのノリは大好きですが(笑)、図書館の立場という意味ではちょっと弱くなったかもしれませんな~。
プライバシーの保護と、読みたいという本をわけ隔てなく提供するという図書館の建前の部分なんかは、現実でも起こってる問題でしょうし(偶然ですが、昨日からNHKでも図書館資料に関する特集が組まれてて、ついつい見入ってしまいました)、その提示の仕方は中々に考えさせてくれます。
ただそういったモノとラブコメ的ストーリーのバランスが悪く、リンクの仕方にやや不満が残りますな~。
そういった意味では続編の可能性が十分考えられるし、次の作品でどうなるかは見ものかもしれない。

印象に残ったエピソードとしては難聴の少女が出てくるエピソードかな。
ここで提示される問題というのは、現実でも一度や二度は出会ってしまう問題でもあると思うし、実際僕もこのエピソードに近い事で自己嫌悪に陥ってしまったことがある。
障害者に対してどう接していくのかというのは難しい問題ではあるし、いってしまえば偽善は善か悪かと同じように解答が出ない問題だと思う。
本作においてそのエピソードはやや安直に解決しまってる気がするが、そう思った原因にラブコメ的要素の為なのか、必要以上に男女の性別における役割というのが匂ってきたからかもしれない。ここで登場する難聴の少女毬絵があまりに少女少女しすぎているというか、逆に言えば小牧が必要以上に護る男性だからかもしれない。
まあこの辺はラブコメという流れの柱があるからしょうがないのかな~という気がしますが。

それにしても、最終章の「お前らは『ガラスの仮面』の赤いハンカチエピソードか!!』(←分かる人には分かるはず?)と突っ込みたくなるようなラブコメ王道パターン(少々古いですが)に笑い、最後に明らかになる柴崎のエピソードには仰天させてもらったということで、前作の最後よりは続編に期待を持ってしまいました。
少なくとも、郁と堂上には「マヤと真澄様の山小屋の一夜」のようなヌルいエピソードでは終わらせてほしくないものです(笑)