『鉄板句女、時代を行く!』
~マダム白猫vs宮本武蔵「最強はどちら!?」
薔薇池のふちを抜けると、そこには玉砂利を敷き詰めた枯山水風の庭園が広がっておりました。
玉砂利の中を波紋のように広がっていく幾何学的な線の中心には、どこか無人島を思わせる苔むした岩が鎮座しています。
庭を望む縁側に腰を下ろし、目をつぶり風を感じておりますと、不意にどこからともなくザワザワと波の打つ音が聞こえて参ります。
鉄板句女が目をひらくと、そこには先ほどまでみた庭園の世界に入りこんでしまったような小さい島の浪打際でありました。
玉砂利の中を波紋のように広がっていく幾何学的な線の中心には、どこか無人島を思わせる苔むした岩が鎮座しています。
庭を望む縁側に腰を下ろし、目をつぶり風を感じておりますと、不意にどこからともなくザワザワと波の打つ音が聞こえて参ります。
鉄板句女が目をひらくと、そこには先ほどまでみた庭園の世界に入りこんでしまったような小さい島の浪打際でありました。
とぼとぼと砂浜を歩いておりますと、打ち寄せる波とともに三尺あまりの、まるで物干し竿のような長さの日本刀の鞘が流れてついたのです。
鞘を手にとりしげしげと眺めていますと、さらには岩陰の向こうからなんとも緊迫した空気とともに話し声が聞こえて参ります。
そっと声のするほうを窺ってみますと、そこにはあのマダム白猫が立っておりました。さらには向かいあうようにして、古ぼけた格好の和服を着て手に長い木刀らしき物を持った人物が立っておりました。
鞘を手にとりしげしげと眺めていますと、さらには岩陰の向こうからなんとも緊迫した空気とともに話し声が聞こえて参ります。
そっと声のするほうを窺ってみますと、そこにはあのマダム白猫が立っておりました。さらには向かいあうようにして、古ぼけた格好の和服を着て手に長い木刀らしき物を持った人物が立っておりました。
武蔵:そんな事より、おぬしは何者じゃ。そのケッタイな格好から察するに、伴天連の女子か。どちらにせよその剣迫、ただものではあるまい。
マダム:私は白猫と申すもの。少々腕に覚えがございまして、世に名高き宮本武蔵様と是非お手合わせ願いたいと思いまして、フフ・・・。
武蔵:ほほう、吉岡一門や槍の胤舜すら打ち倒した儂が女子に決闘を申し込まれようとはのう・・・。されどお主の気配、今まで合間見えたものとはまた異質。よかろう、お相手つかまつる。
そう答えると武蔵さんは腰に差したもう一本の木刀を抜き取り、二刀流の構えを取りました。
それに対し、相対するマダム白猫は妖艶な笑みを浮かべただそこに佇むのみ。並の武芸者なら徒手の、しかもうら若き女性でもあり油断するところでしょうが、さすがは武蔵さん。そんな油断は致しません。
歴史に疎い鉄板句女とはいえ、宮本武蔵といえば最強の剣豪の一人だということは知ってますし、またマダムはかつて本楽堂協会との争いの中でその実力をしっかと目に焼き付けております。
二人の間を流れる緊迫した空気は、鉄板句女に息をする事すら許さないかのようでした。
それに対し、相対するマダム白猫は妖艶な笑みを浮かべただそこに佇むのみ。並の武芸者なら徒手の、しかもうら若き女性でもあり油断するところでしょうが、さすがは武蔵さん。そんな油断は致しません。
歴史に疎い鉄板句女とはいえ、宮本武蔵といえば最強の剣豪の一人だということは知ってますし、またマダムはかつて本楽堂協会との争いの中でその実力をしっかと目に焼き付けております。
二人の間を流れる緊迫した空気は、鉄板句女に息をする事すら許さないかのようでした。
いくばくの刻が流れたことでしょう。二人はただにらみ合ったまま一歩たりとも動きません。
それを見守る鉄板句女にも全身に汗が噴き出してまいりました。
と、その時手に抱えていた鞘が汗で滑り落ちたのです。
それを見守る鉄板句女にも全身に汗が噴き出してまいりました。
と、その時手に抱えていた鞘が汗で滑り落ちたのです。
カラン♪
岩に鞘が当たり、不思議な音色が響きます。
そしてそれが合図であったかのように、武蔵さんが一気に間合いをつめたのです。
砂の上をまるで滑るように移動すると、右手に持った長刀をまるで一撃必殺の剛剣のように振り下ろします。
そしてそれが合図であったかのように、武蔵さんが一気に間合いをつめたのです。
砂の上をまるで滑るように移動すると、右手に持った長刀をまるで一撃必殺の剛剣のように振り下ろします。
危ない!!
鉄板句女は目をつぶってしまいました。
しかしマダムの、そして武蔵さんの声も聞こえる事なく、ただ波の押し寄せる音が聞こえるのみ。
おそるおそる目を開けると、長剣がマダムの頭上に叩きつけられる直前で止まっておりました。
よく見ると、いつの間にそのような事をしかけたのか、武蔵さんの右手にはマダムの髪の毛が絡みつき、武蔵さんの動きを止めていたのです。
しかしマダムの、そして武蔵さんの声も聞こえる事なく、ただ波の押し寄せる音が聞こえるのみ。
おそるおそる目を開けると、長剣がマダムの頭上に叩きつけられる直前で止まっておりました。
よく見ると、いつの間にそのような事をしかけたのか、武蔵さんの右手にはマダムの髪の毛が絡みつき、武蔵さんの動きを止めていたのです。
武蔵:おぬし・・・この世のものか・・・?
驚愕の声を漏らす武蔵さんに対し、悠然と微笑み返すと、右手に絡みついた髪の毛で武蔵さんの体を砂浜に投げ捨てたのです。
体をしたたかに打ちつけながらも、すぐに起き上がり構えなおす武蔵。いつのまにやら左手の木刀を短刀に持ち替え、絡みついた髪の毛を切り落としておりました。
体をしたたかに打ちつけながらも、すぐに起き上がり構えなおす武蔵。いつのまにやら左手の木刀を短刀に持ち替え、絡みついた髪の毛を切り落としておりました。
マダム:それで終わりですか、武蔵さん♪
武蔵:ふふふ、まだまだよ。儂が終わるのは、ただ死ぬる時のみ。それにしても、おぬしの技・・・実に面白きもの。まだまだこの世は広いのう。
そう呟きますと、武蔵さんは突然右手に持った短刀をマダムに投げつけたのです。
一瞬虚を疲れたマダム、その隙を逃さず武蔵さんは一瞬で間を詰め右手の長刀を振り下ろします。
その瞬間マダムの髪がフワリと中を舞うと、一本の三つ編状となり剣を受け止めたのです。
しかしマダムのその行動を読んでいたのかの如く、いつ間にやら再び左手に持った木刀でマダムの喉を突いたのです。
まさに一瞬の神業。
マダム絶対絶命!!と、そこで武蔵さんの動きが再び止まったのです。
今度は手に髪の毛が絡まっている様子はありません。一体どうしたというのでしょう。
一瞬虚を疲れたマダム、その隙を逃さず武蔵さんは一瞬で間を詰め右手の長刀を振り下ろします。
その瞬間マダムの髪がフワリと中を舞うと、一本の三つ編状となり剣を受け止めたのです。
しかしマダムのその行動を読んでいたのかの如く、いつ間にやら再び左手に持った木刀でマダムの喉を突いたのです。
まさに一瞬の神業。
マダム絶対絶命!!と、そこで武蔵さんの動きが再び止まったのです。
今度は手に髪の毛が絡まっている様子はありません。一体どうしたというのでしょう。
武蔵:その髪の毛、まさに神技よのう。まさか同時に二つのことを成しえるとは思わなんだよ。
そうです。いつのまにやらマダムはもう一本三つ編を作り出しその先に先ほど武蔵が投げつけた短刀を結わえ、武蔵さんの心臓の一寸手前で止まっていたのです。
武蔵:女子の二刀流に劣るとは、まだまだ儂の剣も修行不足だったわい。しかも、最後の最後で情けを掛けられるとは。ふふふ、儂の負けじゃ。
マダム:いえいえ。もし武蔵さんが投げたのが木刀でしたら、あなたの心臓を貫く事が出来ずあなたの剛剣が私の喉を潰していたでしょう。引き分けですわ♪
その瞬間あたりを包んでいた緊張が解け、二人の顔に爽快な笑みが浮かんだのでございました。
まさに達人同士だからこそ分かり合える一瞬。
ああ、とてもいいものを見させてもらったわ。心からそう思う鉄板句女でございました。
まさに達人同士だからこそ分かり合える一瞬。
ああ、とてもいいものを見させてもらったわ。心からそう思う鉄板句女でございました。
武蔵:お主、これからどうするつもりじゃ。
マダム:そうですね。次は柳生の里でも訪れて、柳生十兵衛さんと戦ってみようかと。ま、まだまだかの人はお若いようなので実際に立ち会うのは先の事でございましょうが。
武蔵:そうか・・・、機会があればもう一度立ち会ってみたいものじゃがのう・・・。まあ、それも天の定めのままに、とういうところかのう・・・。
そうおっしゃると武蔵さんは大きなため息を一つ疲れました。
うふふ、こんどマダムとお酒を飲み交わす時があったら、あれを持っていきましょう。
酒の肴にはもちろん、十兵衛さんとの一幕のお話で。
そう考えると、また楽しみを一つ心にしまった鉄板句女でございました。
酒の肴にはもちろん、十兵衛さんとの一幕のお話で。
そう考えると、また楽しみを一つ心にしまった鉄板句女でございました。
※「鉄板句女、時代を行く!」は、月の骨さん&あざらし。さんの企画「時代もの、大好き!」
の締め切り日、11/25(土)までの『ビニ鉄』番外編・読みきり短期連載です。
めぽ&たいりょうで、締め切り日までいくつの話が書けるか!?もお楽しみください(笑)
もしくは「この連載書いてみたい!」という方がいらっしゃったら、ぜひご連絡ください。
この企画は、主催者・月の骨さんにお声を掛けていただき、実現致しました。ありがとうございます。
の締め切り日、11/25(土)までの『ビニ鉄』番外編・読みきり短期連載です。
めぽ&たいりょうで、締め切り日までいくつの話が書けるか!?もお楽しみください(笑)
もしくは「この連載書いてみたい!」という方がいらっしゃったら、ぜひご連絡ください。
この企画は、主催者・月の骨さんにお声を掛けていただき、実現致しました。ありがとうございます。