『カクレカラクリ』(☆2.7)



廃墟マニアの郡司朋成と栗城洋輔は、同じ大学に通う真知花梨に招かれて鈴鳴村にやって来た。その地にある廃墟施設を探検するためだ。だが彼らを待ち受けていたのは奇妙な伝説だった。鈴鳴村にはかつて天才絡繰り師が住んでいたが、120年後に作動するという絡繰りを遺してこの世を去った。今年はまさに絡繰りが作動するその年にあたるというのだ!2人は花梨と妹の玲奈の協力を得て、隠された絡繰りを探し始めるのだが…。


森さんのノンシリーズ物は実に『そして二人だけになった』以来2冊目。
映像化もされましたが、決してそのドラマの評判は良かったなわけですが、果たして原作とどう違うのかも気になりますが・・・。

いやあ、80%ぐらい違いました(笑)。
とにかくメインの5人のうち、多少キャラが残っているのは花梨の妹玲奈のその友人(?)太一ぐらいなもんで、郡司と栗城に至ってはまったく別人でしたな。これはもしかして主役の演技があまりに下手だったからキャラを変更したのかと勘繰るぐらいで。
しかも原作に登場しない事件やキャラもあったんですね~。ううん。。。
まあ大きい意味での結末やカラクリに関してはある程度原作に忠実だったから、そういう意味では綾辻さんの『霧越邸殺人事件』のドラマ(映像化タイトル『湖畔の宿殺人事件』)よりはましだったですね。

おっと、ドラマとの差異ばっかり語ってしまって肝心の中身を語ってませんでしたね。
さすがにドラマよりは論理的にきちんとしていて面白いとは思うんですが、森さんのほかの作品と較べるとクオリティがねえ。

とにかく村の地図が欲しい(笑)。
読んでて建物の位置関係とかがさっぱりわからないのでイマイチ臨場感が沸かないです。しかも途中で主人公達が訪れる工場や磯貝先生の家で見た機械の構造がねえ、まったくピンとこないのですなあ~。
ああ、こんな光景どこかで読んだような・・・そう、ノリはほとんどシリーズ物の理系ワールドと一緒。
しかも情景が分かりにくい分、頭に入ってこなさ具合が倍増なんですよ。
正直、後半はかなりダラダラ読んでしまいました^^;;

しかも今回は登場人物にイマイチ感情移入できなかったというか、メリハリを感じませんでした。
森さん自身も最後まで人物設定を迷ったまま書かれたんじゃなかという思うぐらいで。
三人称と一人称がゴチャ混ぜになってる部分もあったしなあ~。

ネタ作りとカラクリの拍子抜け具合はいかにもって感じでいいんですけどね~、それを組み合わせると森さんの得意ジャンルの世界からずれてしまった。
そんな印象の作品でした。