『赤緑黒白』(☆3.0)



鮮やかな赤に塗装された死体が、深夜マンションの駐車場で発見された。死んでいた男は、赤井。彼の恋人だったという女性が「犯人が誰かは、わかっている。それを証明して欲しい」と保呂草に依頼する。そして発生した第二の事件では、死者は緑色に塗られていた。シリーズ完結編にして、新たなる始動を告げる傑作。

yahoo紹介より

いよいよVシリーズ最終作です。
果たして今回はどんな事件なのか?紅子と保呂草の関係は?そしてシリーズ全編を通して見えてくる秘密は?

・・・うーん、なんでしょう。
最初は面白いんですよね。全身を真っ赤に塗られた死体、謎の新興宗教、そして再び登場する死体は緑・・・。
でも後半の解決編は腰砕けなんですよ。
もともと犯人やトリックそのものに主題をおいてないと感じているこのシリーズ。はっきりいって犯人は想定内ですし、ある事件で使われるトリックというのもなんというか、森さん自身これが可能だとは思ってないんじゃないかというぐらいおざなりに描かれてますよね。

で、動機なんですが、まさかここで「黒猫の三角」の犯人が登場するとは思いませんでした。
確かに「黒猫~」と今回の犯人は共に動機そのものが動機といいますか、そんな思想にくくられています。
ただそれを最終作で登場させるには、ややこの作品は練りこみ不足な気がするんですよね~。
単体の作品として考えた場合、あまりに触れられない部分(あるいは余計な装飾)が最後まで曖昧というか。
とくに新興宗教の教祖さん、いきなりそんな事を語られてもねえ・・・。
正直、紫子さんじゃありませんが納得できないことが多すぎです。
それに保呂草さんが最後にとった行動も、なぜという部分で分からない。これは僕の読み込みが甘いせいかなあ。。。

さてさて1冊のミステリとしてみた場合はやや面白さにはかけるものの、シリーズ完結編という意味で凝ってるといえるかな。
なにより、へっ君=犀川の構図が当たった(多分)のはちょっと嬉しかったですね。
最初は紅子が真賀田四季となにか関係があると思ってたのですが、そうではなかったですね。
・・・と思ったら、ラストでもう。ねえ・・・・。
これを読んじゃったら、また次のも読まなくちゃいけないじゃなですか~。

ああ、もう完全に森さん(&講談社)の策略にはまってる気がします。