『クレイジー・クレーマー』



大型スーパー"デイリータウン"のマネージャー袖山剛史は、クレーマー・岬圭祐、万引き常習犯・マンビーという二人の"悪魔"に悩まされていた。ある日岬が、クマ型ペットロボット「テディ・バディ」のケンタを診てほしいと現れた。治療法を教えて切り抜けたのも束の間、マンビーにデスクトップパソコンを盗まれる。そして岬が再びやって来た、「電子レンジでケンタを温めたら死んだ」と―。岬の嫌がらせはエスカレートする一方。袖山の心の支えは恋人・美乃の存在だったが…。

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久しぶり(?)のくろけんさんです。
表紙にサイコ・ミステリーと書いてあり、読み通すと確かにそうなんですがでも割とライトな語り口で非常に読みやすかったですね。

実際のデパートには、この作品に登場する人物に近いクレーマーや万引き犯がいるのかなと思っているうちにどんどん引き込まれていきましたね~。
わりとシンプルな構造なうえ、一部の伏線なんかは露骨なぐらい分かりやすく書かれているので、多分こんな感じで物語が進んでいくんだろ~なって予想していましたら、見事に背負い投げを食らわされました。
事件の真相が明らかになる場面では、正直一体なにが起こったのかわかりませんでした^^;
いや~、伏線が伏線の為の伏線になっているというか、うーんこの分量でこの内容を詰め込めるんだからたいしたもんだ!!

あえていうなら、構成上仕方がないとはいえクレーマーとマンビーの物語の上でのバランスが少し偏ってしまったかなと。
終盤2つの事件がリンクする場面で帳尻はあってるような気もしますが、エピローグで明らかになるもう一つの仕掛けの事を考えるともう少しマンビーに言及してもよかったかな。
そのエピローグもちょっと蛇足な感じがしないでもありません。くろけんさんだったらこの終わり方でももうちょっと感動できる方法を取れるんじゃないかなと。

でも作品としては非常に読みやすいし、ストーリーテラーの本領も発揮されてると思います。
今まで読んだくろけん作品の中では、入門編として一番オススメしやすいかも^^;