フランスVSスペイン

決勝T1回戦のベストゲームで、ついにフランスが蘇った。
今大会好調の無敵艦隊スペインを相手に、ジダンが戻ってくるとはいえ苦戦が予想されたフランス。
しかし試合は序盤からフランスがペースを握る。同時に輝くのは不可能とも言われたジダンとアンリが、ともに輝く。

今まで良くも悪くも自分でゲームをつくってきたジダン。しかしこの試合はアンリが輝く為のサッカーを披露。スペインのオフサイドトラップに掛かりはするものの、素早く縦への展開をしたかと思えば、人数が揃っている時には自分でキープし周囲の上がりを促す。
PKでスペインに先制されても、フランスの動きは変わらない。特にこの日はリベリーマルーダのサイドアタックが効果的。そして前半終了間際、ビエラとのワンツーで2列目から飛び出したリベリーがGKカシージャスをかわして同点ゴール。

後半も動きが落ちないフランス。ジダン、リベラとのベテランが中盤から激しいチェイス、さらにテュラムがF・トーレスを抑え、最後の砦バルデスが押さえる。
優勝した98年のチームを彷彿とさせるフランスのサッカーの前にスペインは攻撃の糸口すら掴めません。
流れを変えたいスペインはビジャ をホアキンに、そしてラウルに代えてルイス・ガルシアを投入。おそらく最後の大会になるかもしれないスペインの至宝。ライバル、そしてチームメイトとしてジダンと共に同じ時代を支えたもう一人の英雄がピッチを去った時点で、この試合の行方は決まったのかもしれない。

後半38分、アンリが獲得したFK。蹴るのはもちろんジダン。彼が放った美しいキックをビエラが押し込み遂にフランスが逆転。ここで負けるわけはいかないスペインはフランスゴールを目指す。何度跳ね返されてもここで負けるわけにはいかない。
そんな無敵艦隊に最後の一撃を放ったのは、この日輝きを取り戻したジダン。左サイドからプジョルをかわしてシュート。この瞬間ジダンプラティニを越えて真の将軍になったのではないだろうか。

終わってみれば3-1の点差があらわす通りフランスが内容でも圧勝。この日のベストプレーヤーはもちろんジダンマルセイユ・ルーレットにかつての切れはなくとも、ジダンジダン。往年の運動量や鋭いパスはまさにフランスの魂を乗せていましたね。
試合終了後、ジダンと抱き合ったアンリの表情は本当に素晴らしかった。ピッチで噛みあわないとされた二人のこの抱擁、今フランスはひとつになった。
美しき栄光への物語はまだ終わらない。