『予告探偵 西郷家の謎』



大戦の傷跡をまだ深く残しつつも、人々が希望を胸に復興をとげてゆく時代―一九五〇年の十二月。それは三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家 に届いた一通の手紙から始まった。便箋に書かれた"すべての事件の謎は我が解く"の一文。その意味する「謎」とは?
壮麗な旧家の屋敷を舞台に繰り広げられ るおぞましき人間関係、次々と起こる奇怪な事件。はたして犯人の正体は?そして、その目的は一体何なのか!?本格推理の名手が"難攻不落のトリック"を ひっさげて読者に挑む、新しいエンターテインメント意欲作。

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わりとお気に入り作家の太田さん。しかしこの小説では久々に脱力させてもらいました(笑)。
あらすじを読んでいただければ分かると思いますが、古く懐かしいタイプの探偵小説と思い読み始めました。

この小説で探偵を務めるのは魔神尊。かなり傍若無人、事件に関わるにはどんな手段も厭わないタイプですが、この探偵の特徴は事件が起きるというのが分かる事。さらにはそんな能力があるくせに、事件を未然を防ごうとはせず、事件がおきてからそれを解決する事を楽しんでしまうという、かなりの捻くれ物です。

ただ事件の内容そのものはかなりオーソドックスな物で、実際この探偵の設定が生かされてるのかどうかと言う部分では疑問が残ります。

しかし、この小説のもっとも重要な問題はラストで明らかになるとんでもない真実。
たしかに「難攻不落のトリック」に偽りなしですよ。なんとなく記述で腑におちない部分があったりしますが、まずこの真実にたどりつく事は出来ないでしょう。

というか、絶対無理だと断言したい!!しかもこの真実というのが、謎が明らかになったことによるカタルシスとはまったく無縁・・・というか限りなくバカミスに近い。
読了した時は、おもわず「ふざけるな~~~~~~」と絶叫しそうになりましたよ。
インターネットの書評を見ても予想通り賛否両論の嵐。

どんな事がおきても許せてしまう心の広いあなたにオススメします。
怒らず、もしくは脱力せず最後の真実に向かい合う事が出来るでしょうか?
僕は無理でした・・・。