【本楽家協会主催】本のタイトルリレー 『12皿の特別料理』

今回は所属する本楽家協会で行われている企画「タイトルリレー」の課題図書です。
急遽ピンチヒッターとして海山ごはんさんからご指名を頂いたわけですが、こういうものはサッと取り組まないとずるずると先延ばしにしてしまうので早速挑戦させて頂きました。

海山ごはんさんから頂いたキーワードは『特別』『執行』『機関』『カーダ』。
本の選択方法としては、yahoo本検索と地元図書館の蔵書検索を駆使して選定する事にしました。
このうち『執行』は前回からのキーワードなので除外してみることに。

まず検索したのが、『カーダ』。やっぱり一番心に残るキーワードですからね♪
検索結果でピッタリ一致したのは

『特別執行機関カーダ』1件!!

恐るべしカーダ、海山ごはんさんの見解によると『「カーダ」は秘密機関だから、それに纏わる書籍もきっと表舞台に出てこない』、納得です、諦めました。

つづいて機関を検索、結果は機関車トーマス、赤い機関車ジェームス、がんばれ機関車トーマス・・・次の人が大変辛い事になりそうなので断念。

最後に残ったのが、『特別』。いざ検索、『平成18年度~特別会計』『平成17年度~特別会計・・・こんなのばっか。これは横着をしようとした罰なのか!!

そんな中、やっと興味をそそられるタイトルを発見。

清水義範『12皿の特別料理』



清水さんの作品は中学生以来ですが、我が家の晩御飯担当として料理というジャンルの小説としても興味がわき、図書館にも在庫があったので課題本はこの作品に決定。
さてどういう内容か?文庫の裏表紙の紹介を引用すると、

インドに出張中交通事故に遭い、現地で入院してしまった夫が食べたがる「おにぎり」。おコメに梅干にノリ。海外ではなかなかそろわない食材を探し歩いて妻が作ったおにぎりは・・・。
忘れられない思い出が詰まった料理が誰にも一つはあるはず。
分かれた夫と新婚のころ食べた鱈のプロバンス風、左遷された会社員がストレス発散に作ったそば、夫の浮気に気付いた妻が作る八宝菜。楽しい思い出、苦い記憶、そんな泣き笑いをたっぷり詰め込んだ12品の料理小説集。温かいうちに召し上がれ

ようするに一品料理をテーマにいろんな人間の悲喜劇を描いたエッセイ風味の小説で、作中に登場する料理は、

おにぎり/ぶり大根/ドーナツ/鱈のプロバンス風/きんぴら/鯛素麺/チキンの魔女風/カレー/パエーリヤ/そば/八宝菜/ぬか漬け

構造としては、1つの料理についてまず登場人物がなぜその料理を作る事になったのかで始まる、その料理方法と過程をそれにまつわる薀蓄を神ならぬ著者が突っ込みをいれながら解説、最後にその料理がどういう結果を出すのか?という感じの短編が12本あるんですね。

この薀蓄というのは中々面白いです。例えば最初の短編「おにぎり」では、地域におけるおにぎりの形分布傾向なんてのを紹介してますし、最近副会長(←最初副団長と書いてしまい、サングラス越しに死線を飛ばされ慌てて訂正^^;)の記事でおにぎりの中身が話題になったのをふまえて、面白く読めました。

そのほかにも、きんぴらのにんじんに関する関東と関西の境界線などなるほど~と思わせてくれました。その中でも妙に名古屋に関して変なこだわりがあったのは気になりましたが(笑)。
なにより、下手な写真を見るよりもおいしそうで、ちょっと作りたくなったりしますね♪

この本のミソは、テーマとなった料理の作り方をちゃんと解説をしてくれてる事。とはいっても、食材の分量とかを細かく説明したりはしてくれません。もちろん、そこまでやると料理本と変わらなくなるという理由もあるんでしょうけど、実際に作るのは登場人物達です。

この配置が巧いんでしょうね。神様である著者がいかに美味しい作り方を知っていても、登場人物の料理経験が低い場合には当然失敗を繰り返し、料理によっては誰にも食べられずにゴミ箱行きになる事も(笑)。
料理とそれをつくる人間模様が巧く計算されてかかれているので、ニヤッとしたり思わず吹き出したりと、予想以上に楽しめました。

あえていうなら、この短編は「野性時代」に連載されていた作品と書き下ろしで構成されているわけですが、連載というかたちだったせいか、1冊の本として読むと若干ワンパターンに感じちゃう事ぐらいかな?
とりあえず、ページ数も無いし気軽に読めて当たりだったかな~と思える本でした。

という事で、次の方に対するキーワードは「1」「2」「皿」「の」「特別」「料理」です。
お願いする方にはゲストブックにて内諾を貰いましてから発表させていただきます。

は~、なんとか終わったぞ~~~~~~~~~!!