『眠りの記憶』(第1回監督作品)

この書庫では、僕がこれまで関わってきたいろんな作品について紹介していきたいと思います。
ということで、最初は自分の監督して映画の紹介で(笑)


第1回監督作品『眠りの記憶』(20分、1997年、8ミリフィルム)


監督・脚本・撮影・編集:
ヤマダ タイリョヲ
撮影:トオハタ ツヨシ
出演:ナガラテッペイ  モリシマ ルミ   タカナシ コレヒコ   ヤマダ タイリョウ
主なロケ地
  京王線高幡不動近辺、新宿アルタ前広場等

ストーリー:
 男(ナガラテッペイ)には記憶が無かった。そして偶然出会った男と女(モリシマルミ)は一緒に暮らし始める。
 男は失った記憶を求め、街にでる。女はそれをただ見送る、寂しそうな顔で。
 男は町で、同じように記憶を失ったホームレス(ヤマダタイリョヲ)で出会い、記憶を無くすということについて語り合う。
 そんな毎日が続く中、記憶を探し続ける男に女の怒りが爆発する。
 「私の存在はなんなの?」
 男にそれを答えるすべは無く、ただ記憶を求め街を彷徨う。
 そして男は、記憶と名乗る人物(タカナシコレヒコ)と出会う。男の記憶と名乗るその人物もまた、男を求め探し続けたのだ。
 男は記憶が戻り、女は男の前から姿を消す。 
 女は事故で死んだ男の恋人アヤだった。男はショックで記憶を失い、アヤはもう一度男の記憶の中にあり続ける為彼の前に現れたのだ。
 そして、アヤの墓参りに行った男は一人の女性とすれ違う。男は気付かなかったが、それはアヤと瓜二つの女性だった。


これは、僕が大学1年の2月から3月にかけて撮影した、初めての自主制作映画です。
原案は高校2年の時に書いた脚本『雨』で、この時も撮影には入ったのですが諸事情により未完成となったので、今回晴れて完成する事が出来ました。
冬休みの間に脚本を仕上げ後期試験の後撮影に入ったのですが、ヒロイン役を務めたモリシマさんが留学の為、かなりのタイトスケジュールで現場は進行しました。
8ミリフィルムは3分2500円(現像代込み)の高値で重ね撮りは出来ないですし、現像から上がってくるまで約1週間使えるかどうかわからないというヒヤヒヤものでしたが、映画研究会の先輩達の協力もあって、無事渡米前に完成させる事が出来ました。

脚本のリトライに関しては、尊敬する福永武彦の作品に登場する「人は2度死ぬ。1度目は肉体的な死、もう1度は人々から忘れ去られる事による精神的な死」という観念をモチーフにアンハッピーエンドの映画になる予定だったのですが、日程の都合上ヒロインが死ぬ場面が撮影不可能になり、ラストに主人公のナレーションを追加したところ、なぜかハッピーエンドになってしまったという、結果としては作品としていい方向に転がったハプニングもありました。(あらすじでは分からないと思いますけど、ハッピーエンドなんですよ、コレ^^;)

今見ると、かなり散文的な内容でカメラアングルも殆ど固定(一応狙いではあったんですが)の為、かなり淡々とした映画、しかもバックにながれるのがショパンピアノ曲でしたから、正直暗くて詰まらない映画になるんじゃないかと思ってたんですが、意外に高評価だったので安心しました。
その後入ってきた後輩の女の子が、この映画を見て泣いてくれたので、自主映画を続ける自信が持てた、今思うとそれなりに幸運な初作品でした。