『空にかざったおくりもの』


収録作

1 ぬすんでもぬすめないものなあに
2 空色のふうせん
3 お山が火をふいたとき
4 あしたもいい天気
5 世界一のたからもの
6 キーキー・ミーミー・ハット
7 わらの家レンガの家
8 空にかざったおくりもの
9 王さまと羊飼い
10 春のとびら

久しぶりにミステリ以外の本を。
ちなみにこれは童話ですね。表題作の他、10篇が収められてます。

個人的に好きなのは、「お山が火をふいたとき」、5「世界一のたからもの」、そして表題作の「そらにかざったおくりもの」ですね。

光原さんの作品は、ミステリ作品においても優しさが根底に流れています。
その優しさの源流が童話作家としての作品にも溢れています。
ひとつひとつのお話は道徳的な説話の要素が入っています。童話におけるこの道徳的なものの見せ方は、例えばグリム童話のように人間の醜い一面をあえて見せる事によって成立させるものがあります。
光原さんの場合、それは教える為のというよりは物事をどう見るのか、そして今自分が感じている気持ちを大切にといった部分に関するものが多く、それはミステリ作家としての作品に共通していると思います。

童話なので、あっさりと読めますしどこかで聞いたような話(7話などは冒頭である有名な童話のパロディである事を示してます)が、たまにはこういう話に浸ってみるのもいいかも。
もしかしたら、忘れていた昔を思い出せるかもしれませんよ。