『さびしんぼう』

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「転校生」「時をかける少女」に続く“尾道3部作”の最終作。大林宣彦監督が故郷尾道市を舞台に、ノスタルジックにつづった甘く切ない青春ファンタジーの感動作。寺の住職の一人息子・ヒロキはカメラ好きの高校2年生。さえない毎日を送るヒロキは、隣の女子校で放課後になるとショパンの『別れの曲』を弾く少女に恋心を抱いていた。彼女を勝手に“さびしんぼう”と呼んでいたヒロキの前に、ある日、ピエロのような格好をして“さびしんぼう”と名乗る謎の女の子が現れた……。 

yahoo紹介より

僕が大林監督にどっぷりはまるきっかけとなったのが、この「さびしんぼう」です、当時風邪薬のCMに出演してた富田靖子さんのファンだった僕は、彼女主演映画をいろいろと見漁ってました。
そうするうちに辿りついたんですが、尾道3部作という名称、そして「転校生」「時をかける少女」は知ってたのですが、この作品は知りませんでした。しかも結構強烈なパッケージだったので、見るまでは字半信半疑・・・

見終わったあとには、僕のマイベストMOVIEになっちゃいました(今でもこの地位は変わりません)。

冒頭からちょっと懐かしさを感じるメロディにお馴染みの「A MOVIE」の文字。
画面は8ミリフィルムのファインダー越しに映し出される高校の生徒達と校舎。尾美としのりのナレーションの中、校舎の廊下を歩いてくる富田靖子扮するヒロイン百合子の悲しげな表情。
主人公ヒロキによって名づけられた「さびしんぼう」の百合子が音楽室のピアノで奏でるのは、かのショパンの代表曲「別れの曲」。
この時点で僕はもう完全にこの映画の世界に引きずりこまれました。

全体にセピア調の色彩がかかった画面の中で繰り広げられるヒロキの切ない片思いに、高校生だった頃の自分を重ね合わせましたよ。
途中登場してくるピエロ調のメイクをした「さびしんぼう」(富田靖子の2役です)のおかしくもおせ3っかいな行動に戸惑うヒロキの姿、尾美さんほんとにいい味だしてます。

そして、ついに百合子と知り合うヒロキ。自転車の故障で困る百合子に、千載一遇のチャンスとばかりに声をかけるその姿と会話の不器用さが、いまでは見られない純朴な田舎少年の香りが漂って懐かしくなります。彼女の姿を見るために通学に使ってるフェリー乗り場に毎朝通うヒロキの姿に、自分の姿を重ねちゃいました。

そして訪れる、二人の「さびしんぼう」との別れ、それまでストーリや展開、画面の構図までが見事なまでに収束されりその手腕には感動しきり、目の前の別れのシーンにも感動。
特に百合子の別れの言葉、ピエロの雨に打たれながらヒロキを待つ姿は今でも心にやきついてます。

何度見ても泣いちゃう作品。まわりの友達には結構否定派の人は多いですけど、でも愛され具合では密かに3部作の中でも一番(確かキネマ旬報のこの年の読者投票1位だったような)です。
見てない人はぜひ見てください。個人的には「ALWAYS 三丁目の夕日」にも負けてないと思うのです。