『殺人方程式 切断された死体の問題』

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新興宗教団体の教主が殺された。儀式のために籠もっていた神殿から姿を消し、頭部と左腕を切断された死体となって発見されたのだ。厳重な監視の目をかいくぐり、いかにして不可能犯罪は行われたのか。二ヵ月前、前教主が遂げた奇怪な死との関連は?真っ向勝負で読者に挑戦する、本格ミステリ会心作。

yahoo紹介より

兄弟シリーズの第1弾です。館シリーズと比べると、かなりトリックそのものに比重が置かれてます。

なにより出色なのは、頭部を切り離した理由ですね。解説で鮎川哲也先生も語っておられますが、このなぜ死体の首を切らなければならなかったのか、という理由に関しては初めて読んだ時は本当に感動しました。
これまで推理小説だと、身元を隠すため、証拠を隠すため、恨みが強いため、そして見立てを成立させるためなどいろいろ理由がありましたが、物理的理由でここまで納得できたのは初めてだったので、やられたーって感じで。
そこから論理的に犯人が導き出される方法もいつになく決まっていて、ああこんな小説も書けるんだと改めて綾辻さんに感動させられました。

小説全体としては、教祖の奥さん件や動機の部分にあいまいというか、若干納得いかないところもあったのですが、それなりに楽しめました。このシリーズだったらTVドラマになっても、「霧越邸」みたいな事にはならないでしょ~。
と思ったら、2はドラマ化されてましたね。普通の2時間ドラマになっちゃってましたが。

トリック  4.0(トリックそのものより、その理由付けに感心しました。)
プロット  3.0(オーソドックスながら、きちんと読ませる展開に仕上がってます)
キャラ   2.5(この夫婦像は正直どうでも。)

総合  3.5